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鳥のように高いところからの俯瞰はできませんが、ITのことをちょっと違った視線から

グローバルとは異なる日本独自のPCへのニーズ

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 前回のブログは2017年9月だったので、3ヶ月ほど更新を怠っているうちに年も明けてしまった。言い訳ではないけれど、昨年10、11月は海外イベントの取材が立て続けにあり、その際に発生した宿題に追われるままに年を越した感じだったのだ。

 ところで海外に出張しているようなときに限って、PCにトラブルが起こる。普段外出用に利用しているのはMacBook Airの13インチ、すでに4年が経過しておりここ最近挙動は不審だった。たまたまソフトウェア・アップデートでOSの更新があり、つい更新ボタンをクリックしてしまった。いつもならなんら問題がなく終わるはずなのに、そのときに限って途中で止まってしまった(止まったように見えた)。そのままほっておけば、いずれ復旧したのかもしれない。けれど、出張先で急ぎ仕事をしたかったこともあり、エイヤーと電源を落として立ち上げ直すことに。そうしたら立ち上がらない。

 自宅ならバックアップから戻すとかもできたけれど、出先ではそれもできず、呆然。これは、この後はiPadで仕事かと覚悟する。それでもなんとか悪あがきしてみる。幸いにして、細いホテルのネットワークでOSをダウンロードして(数時間要した)再セットアップを試みたらデータも初期化されることなく復旧できた。窮地を脱し、その後の仕事もなんとかこなすことができたのだ。教訓として旅先でのOSアップデートはするなと、改めて思うなど。

 4年以上経過したので、そろそろ買い換えは検討している。乗り換え先は12インチのMacBookかなと思っているけれど、カスタマイズしてスペックを上げるとそこそこのお値段。さらにSDカードスロットがないのでカメラデータの取り込みが面倒などといったこともあり、少し躊躇している。使い勝手を変えないならMacBookの13のまま新しくする手もあるけれど、それも芸がない。

 個人的なニーズとして、軽さは重視したい。軽いとは言えない一眼レフのカメラを持ち歩くことも多いので、少しでも持ち歩く装備は軽量化したいからだ。MacBook以外の選択肢で軽くてそこそこのスペックのPCはかなり値が張る。さらにここしばらくMacばかり使っていてWindowsに戻りにくいというのもある。

 そんな中、久しぶりにノートPCの発表会に出てみた。NECパーソナルコンピュータのLavieシリーズの新商品の発表だ。今回の目玉はLAVIE Note Mobileでターゲットは学生。大学生がスマートフォンで卒業論文を書いているなんて話を耳にしたのはすでに3年以上前のことだろうか。あの狭い画面で、なおかつフリック入力で論文書くなんて、ただただ驚くばかり。とはいえ当の大学生にとっては、面倒なPCを憶えるより使い慣れたスマホのほうが早いのだろう。

 日本の若者は諸外国と比べてもPCの保有率はかなり低いようだ。さらにPCの操作に自信がないと答えている大学生も多いとか。そこでNECでは、ターゲットを若者に定めノートPCのラインアップを昨年から強化している。スマートフォンが主流とは言え、論文やレポートの作成で大学生になればPCに接することになる。そこでしっかりとした学生ニーズに合ったものを出すことで、最初にさわるPCがNECになるという戦略だろう。

 これは功を奏して、他のモデルに比べて昨年出したLAVIE Note Mobileの学生の利用割合は45%とかなり高くなったと説明するのは、NECパーソナルコンピュータ 執行役員の河島良輔氏だ。今回は青山学院大学Fullsizeoutput 9a86の協力を仰ぎ、実際の大学生に使ってもらいながら改めて大学生のニーズを把握、それを新製品に反映させたとのこと。

 そこから見えてきた学生の3大ニーズである、A4以下のコンパクトなサイズ、1kg以下の軽さ、そして15万円以下の価格を満たすものが新製品だと説明するのは、NECパーソナルコンピュータ 商品企画部 エバンジェリストの森部浩至氏だ。前モデルは11.6インチの画面でサブノートの位置づけだったが、今回がメインマシンを持ち歩くというコンセプトで12.5インチになっている。重さは924gで大きさもA4のノートよりも少し小さい。これで一番高いモデル(Core i5、8GBメモリ、SSD 256GB)で144,800円程度の値段になる(オープン価格のため予測の値段)。

 これだと、MacBookにも十分に対抗できそうなスペックで、個人的には比較検討候補になった。こちらならSDカードスロットも付いているし、さらにMicrosoft Officeもプリインストールでお得感もある。学生向けだが、日本の電車移動という環境では小さく軽くその上でお手頃価格なのは、ビジネス用途でも十分に魅力的だ。NECでも学生だけでなく幅広いニーズに応えられるモデルと考えているようだ。

 海外におけるPCに対するニーズは「Thin&Light」で薄くて軽いこと。薄さと軽いことにはこだわるが、じつは大きさはそれほどこだわっていないので、フットプリントは大きいものが多い。さらにそういうエッジな製品は価格もそれなりに。一方で日本のニーズは「Small&Light」で小さくて軽いこと。その上で手ごろな価格というのは、狭まりつつある日本のPC市場でもそれなりの存在感を示すかもしれない。18日から発売と言うことで、実物をさわりに行ってみようかと思っている。

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