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鳥のように高いところからの俯瞰はできませんが、ITのことをちょっと違った視線から

クラウドは動かす場所の話ではなくデジタルトランスフォーメーションのための手法の話だと

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 「Dell EMC World」の取材で、今年3度目のラスベガス訪問中。去年まではEMCのイベントだったけれど、今年からはDell Technologiesのイベントとなり、基調講演にはCEO マイケル・デル氏が登場する。この変化には、まだなんとなく慣れない感じも。

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 Dell Technologiesとしては、パブリッククラウドはVirtustreamというハイエンドのミッションクリティカルに特化したシステムを動かすためのものだけを提供している。それ以外はAWSやMicrosoft Azureなどのパブリッククラウドベンダーと協業という戦略。DellとEMCの統合で、どちらかと言えばハードウェアに重きを置くようになったこともあって、彼らが今、標榜するのはハイブリッドのクラウドと言うことになる。

 そんなDell Technologiesだが、今回は盛りだくさんの発表でニュースリリースは実に20本もある。さらに関連情報として30本くらいのブログも投稿されるとのことで、新しい情報をキャッチアップするだけでも大変だ。新製品の話題などは、別途記事などで書く予定。このブログでは、ちょっと気になった基調講演の話題を1つ。それがデル氏の発言の「クラウドというのは場所の話ではなく、情報テクノロジーのやり方だ」と言うこと。どうしても「パブリッククラウド vs プライベートクラウド」となって、双方のメリットを比較してしまう傾向がある。そうなると何かすっきりしないという感覚がこれまでもたびたびあった。

 パブリッククラウドベンダー。ハイブリッドクラウドこそがこれからの姿だというベンダー双方の主張を聞けば、まあなるほどねとなる。でも、何か腑に落ちない。それがこの「クラウドは手法なんだよ」と言う言葉に、なんだか救われたというか、そう考えれば納得できるよねと言うか。改めて、クラウドは目的じゃないのだと言うのを認識し直した感じ。なんだか、それをマイケル・デル氏の発言でというのも少しむずがゆいかなぁなんて思ったりも。

 先日も、ITRの内山さんにインタビューした際に、クラウドを目的化しているという傾向が日本ではありませんかと聞いたら、さすがにIT部門ではそういうのはないけれど、経営層ではコスト削減できるところだとしてしか見ていないこともある、なんて話を伺ったところだったりも。クラウド何者ぞ、場所の話ではなく企業のデジタル化の1つの有効な手法なんだよ。そういう観点で改めて記事を書いていこうと思わせる、Dell Technologiesの基調講演だったなと思うところだ。

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