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SalesforceのLightningコンポーネントのマーケットプレイスは成功するのか

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 セールスフォース・ドットコムのビジネスが成功している要因の1つが、AppExchangeというISVパートナーによるforce.comプレットフォームで動くアプリケーションのマーケットプレイスだと思う。ここで形成されているエコシステムが、Salesforceのビジネスをユーザーやパートナーが自ら広げる役割を果たしている。

 Salesforceでは、昨年Lightningという新たなコンポーネントベースの開発環境の提供を開始した。コンポーネントという部品を組み合わせることで、簡単に素早くUIの優れたアプリケーションの構築やカスタマイズが行える。

 Lightningでは、Salesforce自信が提供する標準コンポーネント、顧客ユーザー自身が作るコンポーネントがあり、さらにパートナー企業が提供するコンポーネントもある。これはAppExchangeから提供されるアプリケーションと同様に、マーケットプレイスからパートナーのコンポーネントをユーザーが対価を払って利用することになる。

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 このパートナーコンポーネントが、1年ほどで65になったことがプレス向けの説明会で明らかにされた。この65という数字、AppExchangeのエコシステムの成功、拡大の様子から見ると、まだまだ少ないのではと思うところ。便利で使いやすいものであれば、既存のSalesforceのパートナーがこぞってコンポーネント部品をこのマーケットプレイスに投入してもおかしくない。

 なかなか増えない理由をセールスフォース・ドットコム CRM Apps担当 EVPのマイク・ローゼンバウム氏は、卵が先か鶏が先かというのと同じだと説明する。Lightningを利用する顧客が増えなければパートナーは参入しにくい、逆に顧客はパートナーの提供するコンポーネントが充実すれば積極的にコンポーネントを利用するようにもなると。マーケットプレイスはまだ立ち上がったばかりであり、これからのものだとも言う。

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 日本法人のマーケティング本部 プロダクトマーケティング シニアディレクター 御代茂樹氏は、パートナーがコンポーネントにどう付加価値をつけてビジネスにしていくか、そこのところは新たなビジネスモデルとして検討を要するところだと指摘する。単独で商品となるような部品コンポーネントを提供するのか、あるいは既存のAppExchangeのアプリケーションに付加価値的にコンポーネントを提供するのか。当然ながら、これらの価格の付け方にも頭を悩ますことになりそうだ。

 もう1つ御代氏がパートナーのコンポーネントが一気に増えない理由として挙げたのが、コンポーネントには厳しいセキュリティチェックがあること。すでにチェックのためのけっこうな待ち行列ができているのだとか。これは、部品にセキュリティ上の脆弱性があっては大問題なので、致し方がないところだろう。AppExchangeのアプリケーションの審査も、当初はかなり時間がかかることがあったので、このあたりの体制や手順は徐々に改善されてくるのではと思う。そうなれば、さらにパートナーのコンポーネントがマーケットプレイスに増えることにはなりそうだ。

 とはいえ、アプリケーションのマーケットプレイスと違って部品のマーケットプレイスはパートナーにとっては少しビジネスが難しいところがあるのではと思う。部品の粒度を小さくして機能をシンプルにすれば汎用性は高まり、市場ターゲットは広がる。しかしそうなると、何に使える部品かを理解してもらうのが大変そうだ。機能がシンプルだと、これを使えばどう便利かの説明もしにくいだろう。機能が単純であれば価格も安く設定せざる得ず、量がでないとビジネスにならない問題もある。

 逆に粒度を大きくすれば、使うことでのメリットや効果は示しやすいが、汎用性がなくなり特定用途用となり市場を狭めてしまう。機能も豊富で価格もそれなりの設定となれば、アプリケーションとの境目があやふやになりそうだ。

 このようにソフトウェア部品のマーケットプレイスには、粒度をどうするか、その際の価格付けをどうすればいいのかといったところで頭を悩ますことになりそうだ。これらがちょっと足かせになって、マーケットプレイスの活性化は、アプリケーションの場合より立ち上がりは少し遅れるかもしれない。

 しかしながら、コンポーネント指向で部品を組み合わせてアプリケーションを構築するのは、今後のアプリケーション開発の主たる開発スタイルになるだろう。というか、こんな発想自体は昔からあったけれど、クラウドのプラットフォーム上で実現できるようになり、やっと現実のものになったというところか。

 SalesforceのSIをやっている企業は、すでに内部で使う部品を共通コンポーネント化して効率化している動きがある。ISVでも自分たちが提供するアプリケーションをコンポーネントベースに書き換える動きは加速しているようだ。まずはこういった内部でのコンポーネント化が進み、その副産物でマーケットプレイスが活性化するという流れになるのかもしれない。

 今後Lightningのコンポーネントがマーケットプレイスにどんなペースで増えていくのか。その動向はSalesforceのビジネス拡大にもそれなりに影響しそうだ。

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