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「景気は気から」〜数字より大事なこと〜

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こんにちは。
今日もお読みいただきありがとうございます。

 

先週、日経平均株価がついに20,000円の大台を捉えました。
日経平均が2万円を超えたのは、実に15年ぶり。

そして、この株価の上昇について、楽観論、悲観論を含め、実にいろいろな見方がされているわけですが、私たちはどのような姿勢でこのニュースに触れればいいのでしょうか。

結論から申し上げてみましょう。
このニュースを見たときに私が感じたことは2つ。

  • うん、この先景気はきっと上がるだろうなぁ。
  • でもそもそもみんなは「景気」をどう定義しているんだろう?

というものです。

 

なぜ、私がこういう結論に至ったのか。せっかくなので「ロジカる」してみましょう。

 

そもそも「景気」とは何か

日本ではこの不思議な言葉が、統一した意味を持つわけでもなく広く使われています。

 

wikipediaで調べてみると、こう書いてあります。

景気(けいき)とは、売買や取引などの経済活動全般の動向のこと。

日本語における「景気」という言葉は、中世に和歌の批評における余情意識を表現する用語として用いられており、景色・雰囲気などの意味合いを込めて使われてきた。(『方丈記』など)転じて評判や人気などの意味にも用いられる場合があった。

経済用語としての「景気」にも実体経済の動向のみならず、これに伴った世間一般の社会的心理をも含めて捉えるケースも多く、英語などの他言語には正確に合致する単語はないと考えられている。

wikipediaにどれだけの権威を認めるかはさておいて、
景気という言葉には「実体経済の動向」と「それに伴う心理」との二つの性質があるということですね。

 

ですから、非常に不思議な感じにはなりますが、
「私たちが、『これから景気は良くなる』『いや、これからも景気は良くならない』とあれこれ考えていること自体が、景気を構成している」
ということです。

 

ややこしいから簡単な言葉で言い換えましょう。

「景気は気から」

ということです。

 

この考え方にそえば、好景気とは、
「これから景気が良くなるだろうから、お金はあまり貯めこまずに、たまには借金をしてでも大きい買い物をしてしまおう」と社会の大半が思っている状態であり、

逆に不景気とは、
「これから景気が悪くなるだろうから出費を切り詰めて、必要最低限のものだけ買って、慎ましく動こう」と社会の大半が思っている状態。

 

だとすると、
私たちが景気を判断するときに必要なのは、「株価が2万円になった」という事実だけではなくて、

「2万円という数字を、社会がどう評価しているか」という「意見」の部分こそが、大事になるということなのかもしれません。

「意見」を分類してみよう

さて、ここからがロジカるの大事な部分です。
「意見」といっても人によって様々なわけですから、その様々な意見を、できるだけ満遍なく捉えなければ景気の判断をすることはできませんよね。

そこで、ここでは一旦、マクロ経済の主体と言われている「政府」「企業」「家計」の3つに分けて、2万円という株価をどう捉えているのかを考えてみたいと思います。

 

まず、政府はどういう見方をしているか。
政府の中で見解が分裂しているとは考えられないので、代表的な意見だけを見ておきましょう。

菅官房長官は記者会見で「政権発足から2年で2万円に乗せた。よくここまで来たという思いはしている。引き続き『(金融政策、財政出動、成長戦略の)3本の矢』を着実に進めて経済の好循環を実現したい」と述べました。

まぁ、政府なのでこういう意見になるよなぁ(笑)という感じではありますが、それでも今後政府がどれくらいの本気度で景気刺激に挑むのかを見ることは意味があります。この発言からは「2万円になったからといってアベノミクスの手を緩めることはしない」ということが見えてきますからね。

 

 

二つ目の企業はどうでしょうか。
企業といってもいろいろな業種がありますので、株価の上昇への捉え方もバラバラだと思います。こういう場合にはできるだけ多くの企業の「意見」を集めてみる必要があるわけです。

「アベノミクスが実を結び、日本経済が着実に回復していることを実感している」(日立製作所の東原社長)

「各企業はグローバルな経済成長と評価基軸を積極的に取り入れることで国際競争力が向上している」(アサヒHDの泉谷社長)

これらは比較的ポジティブな意見ですね。

「株価は海外のリスクなどもはらみながら動く。向こう1年が『バラ色』とはいかない」(ユニーグループ・ホールディングスの佐古社長)
「株価は景気の回復基調を反映するものだが、刻一刻と変化する株価に一喜一憂する必要はない」(東レの日覚社長)

ネガティブ、というほどではないものの、株価が上がったからといって過度に楽観視しない姿勢もみられます。

 

 

最後の家計はどうでしょうか。

3つの中で最も母集団の要素数が多いので、本来であれば統計の結果に任せた方が良さそうですが、基本的に統計結果が出揃うのには非常に時間がかかります。ですので、統計やマスコミのアンケートをじっくり待つのも一つの方法です。

今回はまだそういった情報が揃っていないので、周辺的な情報から推測していくことにしましょう。

  • 今までのパターンでは「景気回復が実感できない」というのが家計の回答の大多数でした。今回も同様の回答が一番ポピュラーだとは思います。
  • ただ、今回に関してはすでに多くの企業がベア回答などをしており、株価2万円を待たずして給与面での改善は(個別にはケースバイケースだろうが、全体としては)図られているので、上記の意見は少し和らいだものになりそうです。
  • しかしながら、そもそも株価と違って家計の収入(=給料)は年に1〜2回くらいしか上がりませんし、上がり方も緩やかですから、家計が景気回復を実感するのは「夏と年末の賞与」程度。それまでは慎重論が根強いだろう、と推測されます。

以上をざーっとまとめてしまえば

 政府=プラス評価、かつ今後も本腰を入れる構え

 企業=慎重論はあるが、企業努力の結果に手応えもあるようだ

 家計=株価より賞与が出るまでは答えは出ないので一旦ニュートラル

といった感じになるでしょう。

以上が、私が冒頭で「景気は良くなるだろうな」と感じた根拠です。

エコノミストだって間違える

今日の「ロジカる」はいかがだったでしょうか。

マクロ経済の動向というと非常に難しくて、経済学者やエコノミストでも未来の予測を間違えることは珍しくありません。

ただ、だからと言って「エコノミストでも間違えるのだから予測なんて馬鹿げている」と考えるのは間違いだと私は思います。

見えにくい出来事であっても、私たちの暮らしに確かにつながっているわけで、そこに関心を持ち続けることは非常に大事。

こういった考え方をひとつひとつ積み重ねていくことで、仕事や家庭での行動が少しずつ変わっていきます。

これからも「ロジカる」を続けていきましょう。

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