グーグルだって客商売である
今さら書くのも何ですが、グーグルのストリートビュー問題はいっこうに解決の兆しが見えないようです。高木浩光氏のブログでも、女子高の敷地内進入であるとか、墓地内での撮影(条例違反の可能性あり)などの具体的問題が指摘されているのはご存じかと思います。
昨日、米グーグルの法務担当者が来日してこの件に関する記者説明会を行なったようです(関連記事)が、特に具体的な解決策はなくオプトアウト(文句が来れば削除する)で解決する方向性のようです。
しかし、本来的に大衆に向けることを想定してウェブに公開している情報をサーチエンジンにリストしたのを削除する、あるいは、グーグル以外の第三者が違法なコンテンツを公開した場合に当該サーチエンジンの情報を削除するというような場合を事後的なオプトアウトで対応しますというのと、本来世界に向けて発信することを想定していない映像(例:民家の庭を塀の上からのぞいた映像)をグーグル自身が収集している場合をオプトアウトで対応しますというのでは全然話が違うと思います。
落合洋司弁護士もブログで以下のように書かれています。
日本における法的問題が論じられているのに、どう見ても日本法に詳しいとは思えない米国の法務担当者がやってきて、ピントのずれた昔話をした上で、これがベストではないか、などと言っているようでは、今後、起き得る訴訟等への対応は大丈夫なのかと、他人事ながら心配になってきます。
私も同感ですが、さらに言うならば、この問題は法律の話以前の問題であると考えます。
言うまでもなく、企業には社会的責任というものがあります。法律に触れていないから何をしてもよいというわけではありません。社会通念上多くの人が不快に感じるようなことを企業は行なうべきではありません。さらに、倫理的な話以前に、お客様を不快にさせないことは客商売の大原則です。
たとえば、テレビ番組で食べ物を粗末にするコントを行なったことで、視聴者からの苦情が殺到したとします。これをテレビ局が「自分の所有物である食べ物をどうしようが法的には問題ない」と説明してもしょうがないですね。仮にそういう姿勢をとり続けていれば、視聴率低下、スポンサーへの抗議、スポンサー製品の不買運動につながり、テレビ局はビジネスとして損をします。なので、テレビ局は、倫理的な話以前に経済的理由により、視聴者を不快にさせるようなことはしません。これは法律論ではなく、「客商売」の基本です。(なお、ちょっとおかしなクレーマーの意見も全部受け入れろと言っているわけではもちろんありません)。
グーグルも客商売である点は変わりはありません。
グーグルの場合、空気のようになってしまっているので不買運動というのは想像しにくいですが、サーチエンジンは使っても有料サービスを利用しない、AdWordsをクリックしない、AdSenseでなくOverture等の競合サービスを利用する等々、消費者としての抗議意思を示す方法はいくらでもあります。もちろん、そういうことをしましょうと示唆しているのではありません。そういことをされないようにグーグルもお客様を不快にさせないようにすべきでしょうと言っているのです。
#なお、このエントリーのタイトルは、一応「グーグーだって猫である」のもじりになってます(いちいち説明するなよ>自分)