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カラオケ法理の判例が積み重なっていく

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日本のTV番組を海外で視聴できるサービス「インターネット親子テレビ」の違法性が問われた裁判で、東京地裁が著作権侵害という判決を出しました(ニュースソース判決文(PDF))。

録画のための特殊機器を業者が利用者にレンタルするという形態のサービスなので、管理性(機器の所有権、関連サービスの提供)および図利性(利益を得ているかどうか)の観点から複製行為の主体は業者であり、よって、私的複製ではない、というネットサービス系のカラオケ法理適用における典型的ロジックです。過去の判例の流れから見ればしょうがないかなという感じです。

被告側はそもそもこの手のサービスにカラオケ法理を適用すること自体おかしいとの主張もしていますが、まったく認められていません。

ということで、この手のサービスを合法的にやろうと思えば、まねきTV的に汎用機器(ロケフリ)をユーザーに買ってもらって、業者側はハウジング・サービスに徹するという形しかなさそうです。

ユーザーからして見れば、料金を払ってどこでもテレビが見られるというサービスを受けているのは同じなのに、機器の所有者は誰かとかそういう内部的な仕組みで合法になったり、違法になったりするのは腑に落ちないですし、法律論を離れて一般市民の感情で言えば、池田信夫氏のブログにおける中山信弘先生の発言「海外にいる日本人が、日本の番組を録画して見るというささやかなサービスを、NHKと在京キー局がよってたかって裁判でつぶすのは異常だ」(ただし、池田氏がメモから書き起こしたものなので、本当に中山先生がこういう言い方をしたかどうかは確実ではありません)というのが正直なところではないでしょうか。

ところで全くの余談ではありますが、高部眞規子判事は異動されて今は知財担当ではないようですね。さらに余談ですが、Wikipediaの高部判事の記事における「出雲高校時代は、Z会において「ビーナスV」の筆名で勇名を轟かした」という記載(ただし、ソースなし)はちょっと衝撃でした。現在50歳前後で受験の時にZ会やってた人しか知らないと思いますが成績優秀者ランキングの常連だったということですね。

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