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誤訳・珍訳について再び

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現在、某ビジネス書(結構ビッグタイトルです)の翻訳仕事が進行中です。8月くらいには発表できるかと思います(ところで、「ライフサイクルイノベーション」は第5刷となりました)。

翻訳と言えば、以前に別宮貞則氏の誤訳指摘本について書いたりしました。他人のとんでもない誤訳・珍訳のパターンを見るのはなかなかおもしろい勉強になります。しかし、他人の誤訳について自分でブログで紹介したりするのはあまりやらないようにしておこうと思います。

理由は、最近は原書しか読まないで訳書を買わないケースが増えていること、そして、あんまり他人のあら探しばかりしてると「じゃあお前の訳書のここはどうなんだよ」なんて指摘される可能性が高まるからであります(誤訳はソフトウェアのバグと一緒でコントロールはできますが、ゼロにはできないですからね)。

といいつつ、誤訳関係で最近よく見てるのはこのサイトです。クレイトン・クリステンセンとかジェラルド・ワインバーグ等のIT関係者でもよく読まれてる本も対象になってますので、わかりやすいかもしれません。ちょっとあら探しが過ぎるかなと言う箇所もありますが、それなりに名前が出ている翻訳者の人でも結構雑な人がいるんだなーということがわかります。

ところで、こういう感じで誤訳サイトを見回っていて非常に頭に来たパターンがあります(上記サイトとは別のサイトに載っていた話)。かなりヒットした作品の翻訳なのですが、原文の一部(4ページ分)くらいをカットして、しかも、カットしたことのの整合性を取るために「あまり多くは語らないが」というせりふを訳文に追加してしまった(もちろん、原文にはこんなせりふはない)部分があるらしいのです。これは、誤訳なんてものではなくて、翻訳者(および編集者)のモラルにかかわる問題ですね。万に一つ、翻訳に使った英文原稿と最終版の英文原稿がバージョン違いだったという可能性もありますが、その場合でも差分をチェックして抜けのない翻訳にするのは編集者の責任だと思います。

こんなのがOKなのであれば、私も原文のややこしい箇所は省略して「後は、読者の方の考察にお任せしたい」と一文追加してしまえばどんなに楽かと思いますけどね(冗談ですよもちろん)。

Comment(1)

コメント

poimandres

栗原さんの専門とはだいぶジャンルが違うと思いますが、翻訳時の省略という点では岩波文庫版『紫禁城の黄昏』が凄いです。
これだけの省略、しかも特定の意図を持ってのものはなかなか類を見ないと思います。
詳細はAmazonのレビューに書いてありますのでそちらに譲ります。

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