もう既に多くの方が読まれていると思いますので、今さら紹介するのも何ですが、ITmediaに掲載された、東京大学の中山信弘教授の講演の記事、まだ読まれていない方は是非ご一読をおすすめします。中山先生が言われることがすべて正しいとは言いませんが、現在の著作権制度が抱える問題点が簡潔にまとまっていると思います。
特に下記の点は重要です。
「著作権法を侵害したことがない人はほとんどいないだろう。訴える人がいないだけで、形式的には“一億総犯罪者”とも言える」――例えば中山教授が大学の研究室で他人の論文をコピーする行為も、「私的使用の範囲を超えているから」著作権侵害に当たると話す。
もちろん、ここでのポイントは、犯罪者を取り締まれでもなければ、絶対犯罪行為をしないようにみんな気をつけようでもありません。法律を含む著作権制度を実状に合うように変えていかなくてはならないということです。
サーチエンジンのキャッシュ問題も同じです。
例えば検索エンジンのキャッシュの扱い。日本の著作権法では現状、キャッシュは複製とみなされるため、著作者に無断でキャッシュを作成・蓄積する検索エンジンサーバは「著作権侵害の可能性が高い」。ヤフーやグーグルなどは、検索サーバを国外に置いている。
一部のサーチエンジンはキャッシュサーバを国内に置いているらしいですが、それはその会社が「一億総犯罪者」のひとつになり得るということを示すだけで、サーチエンジンのキャッシュ作成が合法であることの証明にはなりません。(ちなみに、米国では、この件は実際に裁判で争われており、判例上、サーチエンジンのキャッシュはフェアユースということで一応の解決を見ております)。
今の日本の著作権法においてサーチエンジンのキャッシュ作成が合法であるという法解釈ができるのであれば、是非聞いてみたいものです(専門家が集まって議論してきても、合法であるという合理的解釈ができなかったので、実際に法改正の検討が始まっているのですから、それをひっくり返せるのであればかなり画期的なことでしょう、論文1本くらい書けるかもしれません)。
いずれにせよ、サーチエンジンの話はあくまでも一例であり、複製が当たり前であるネットの世界において、どういう著作権制度があるべき姿なのかを考える上で、この記事は重要な出発点のひとつになるのではと思います。
Special
- PR -| wakatono | 2008/03/06 12:42 |
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ネットワーク経由での利用以前に、中山先生はソフトウェアに関するお話を、ご自身の著書(ソフトウェアの法的保護(有斐閣))で述べられてますね。そこでの議論の発展形が、ITmediaの記事になった講演になるのかなー、とか考えてたりします。 ネットワークの話だけではなく、ソフトウェアに関連した話もあわせてバックグラウンドとして知っておくと、良いのかな?とも思います。 | |
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