どのCMが見たいですかと聞いてくるテレビについて
サウスパークにしろ、各テレビ局のサイトにしろ、Huluにしろ、米国の動画配信サイトは基本的に、強制CM視聴による広告収益モデルなわけですが、CMの量はYahoo!動画やGYAO等と比較してかなり少ない気がします。通常のテレビ放送(日米問わず)と比較しても少ないでしょう。さらに、ユーザー登録も不要なことが多いので本当に十分な広告収益が得られるのか心配になってしまいます。このあたりは日米の広告業界のビジネスモデルの相違に関係してるのかもしれませんが、よく知りません。
ところで、Huluではなかなかおもしろい広告方式を提供しています。動画コンテンツを見ると最初に「新作映画xxxxの予告編を見ますか、それとも普通のCMを見ますか?」というように聞いてくることがあります。また、「これから自動車のCMを見ていただきますが、どの車(たとえば、SUV、セダン、スポーツカー)のCMを見たいですか?」と聞いてくるパターンもあるみたいです。
視聴者もちょっとでも自分の関心があるCMであれば注目して見るようになるでしょうし、その結果、広告の効果も高くなるでしょう。また、広告主にとっても視聴者がどのCMに関心を持っているかの統計的情報はマーケティングに有効でしょう。結果的に広告料も高く設定できるのではと思います。
言われてしまえば当たり前の仕組みですし、実装もそんなに難しくないと思いますが、単純な割には効果が高いのではないでしょうか。普通は、視聴者の今までの視聴パターンやプロファイルから一番興味があると思われる広告をがんばって分析して表示することになると思うのですが、単刀直入に聞いてしまうというのは逆転の発想ですよね。今までもこういう広告手法ってあったのでしょうかね?これ以外にも、電波垂れ流し方式では実現できないネットならではの効果が高い広告方式はいくらでも考えられるでしょう。
著作権関係の議論だと、権利者側、利用者側、ネット側が「使わせろ、使わせない」の議論をするパターンが典型的と思いますが、こういう事例を見て思うのは、そこに、広告やマーケティングの専門家も加えた方がよいんじゃないかということです。問題は、「使わせろ、使わせない」ではなくて、「どうやってみんなが得する仕組みを作るか」なのですから。