違法着メロ・着うたサイトと動画投稿サイトに対する気持ちの違いについて
あらためて言うまでもないですが、違法着うたサイトが社会的に問題になっています(ソースの一例)。
法律的に言えば、着メロ着うたサイトに他人が権利を持つ楽曲を未許諾でアップするのと、動画投稿サイトに他人が権利を持つコンテンツを未許諾にアップするのは、どちらも同様に違法です(著作権者の公衆送信権と著作隣接権者の送信可能化権を侵害)。
しかし、法律論は別として、心情的に考えると、両者には違うものを感じてしまいます。
着うた・着メロの場合は既に合法的な代替案が一応ありますし(品揃えの点で難ありかもしれませんが)、料金も(人によっては高いと思うかもしれませんが)禁止的な設定ではないと思います。
また、CDの音源を使った着うたでは無理ですが、着メロであればJASRACの許諾を受けて合法的に行う方法もあります。何回も書いてますが、JASRACの利用料は禁止的に高いというほどではありません。上のソースで紹介されている「チャッカーズ」というサイトのように、JASRACに利用料を払った上でカバーで演奏した着うたを配付しているところもあるようです。VOCALOIDでカバーするのもありかもしれません(この場合、無伴奏でなければ、クリプトンの利用許諾には抵触しません。ただし、アーティスト名やサイト名としてVOCALOID、初音ミク等を使うには、別途クリプトンに(キャラクター権についての)許諾を得る必要があります)。
さらに、自分で買ったCDをツールを使って着うた化するのは私的複製にあたるので自由にできます。(ただし、途中でネットワークを経由したり、ストレージ・サービスに楽曲ファイルを置いたりするとMYUTA事件のように公衆送信権の侵害と言われてしまう可能性があります)。
いずれにせよ、着メロ・着うたの場合には合法的な代替案がそれなりにそろっています。
ということで、ダウンロード違法化の件が通るか通らないかは別として「着メロ・着うたを使いたい人は合法サイトを使うか、自分で作るかにしましょう」と自信を持って言えます。
これに対して、動画投稿サイトの場合は「TV局や事務所の公式サイトを使いましょう」と言うのは前回書いたように心にひっかかるものがあるわけです。
ところで、前回と今回は法律論ではなく心情論だと書きましたが、そもそも、法律を含む制度設計は、社会の大多数が心情的に納得できるものでなければならないと思いますので、立法論的には法律の話とまったく関係ないとも言えない話だと思います。