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【正月小ネタシリーズ1】サマンサタバサって

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正月休みなので小ネタです(その1)。

辻さんのエントリーで紹介されていた「サマンサ タバサ 世界ブランドを作る」という本のタイトルを見て思ったのですが、「サマンサタバサ」と聞くと、私を含めてある年齢以上の人は通常は「奥様は魔女」(オリジナル版)の登場人物の2名を組み合わせたと思うでしょう。実際、知恵袋系のサイトでは「奥様は魔女」の登場人物から取ったという回答がされていることが多いようです。

しかし、Wikipediaのエントリーによれば類似したのは「偶然」だと上記の本に書いてあるそうです。偶然だとしても、世界ブランドを目指しているということは当然米国にも進出するわけであり、キャラクター権利の保護が日本よりもはるかに強い米国でわざわざいちゃもんを付けられやすそうな名前にすることはなかったのではと思います。

そう考えてみる、ファッション関係では、セシル・マクビーとかガルシア・マルケスとか偶然とは思いますが有名人の名前と同じものが多いと思います(他にもあるのかもしれませんが、そもそも女性向けブランドをよく知らないのでわかりません)。

セシル・マクビーはジャズをある程度知っている人なら知っていると思いますが、エルビン・ジョーンズや山下洋輔なんかと演奏している黒人ベーシストです。この件については、実は、セシル・マクビー本人が商標無効審判を請求しており、(私個人的にはちょっと納得できない理由で)負けております(これについては旧ブログで書きました)。

ガルシア・マルケスなんて、存命中のノーベル文学賞受賞者なのに大丈夫なんでしょうか?まさか、本人に許可をもらっていることはないと思いますが。

さらに、セシル・マクビーは骨太な演奏をする黒人ジャズベーシスト、ガルシア・マルケスはコロンビアの左翼文学者ということでおしゃれブランドとは全然イメージが違うと思うのですが、まあ、この点については、これらのブランドの購買層の人は両名とも知らないことがほとんどなので関係ないのでしょうね。

余談1: 「奥様は魔女」について調べていて知りましたが、サマンサのダンナのダーリンというのはてっきり、ラムちゃんと同じように呼びかけとしてダーリン(Darling)と呼んでいるのかと思ったら、ダーリン(Darrin)ていう名前の役だったんですね。しゃれになっているのかと思いましたけど、よく考えたら米国人的には全然発音も違いますし。

余談2: 「ハッピー・フィート」というペンギンが主人公のCGアニメを観てたら最後のスタッフ・ロールで、「xxxというキャラクターはマリリン・モンローに基づいており、yyyy(モンローのキャラクター権を管理している団体と思われます)の許諾を得ております」、「xxxというキャラクターはエルビス・プレスリーに基づいており、yyyy(同上)の許諾を得ております」というようなクレジットがあったので、やはりアメリカは厳しいなと思いました。別に、ペンギンがモンローやエルビスの歌を歌ったり物まねをするわけではないですよ。マリリンのキャラで言うとほくろのような模様があるのと、色っぽい歩き方をするというくらいです。エルビスのキャラはメンフィスという名前で、エルビスぽい歌い方をするというくらいです。この程度でもいちいち許可取らなければならないほど、米国はキャラクター権にうるさいということです。

ちょっと修正: すみません。よく調べたら、メンフィス(プレスリーがモデルのペンギン)は「ハートブレークホテル」を歌ってました。あと、モンローがモデルのペンギンの名前はノーマ・ジーン(モンローの本名)でした。それでも、そのまんま使ってるわけでもないのに許諾もらうんだなあ(しかも故人なのに)という感想については変わりはありません。日本で例を言うと、「愚地独歩のキャラクターは大山倍達をモデルにしており、極真会館の許諾を得ております」という感じでしょうか?(かえってわかりにくい?)

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