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ディラン&キャサリンについて

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最近観た、友近となだぎ武によるディラン&キャサリンのネタ、結構おもしろいなと思いました(「何を今さら」なんて言わないで、あんまりテレビ観ない人なので)。外国ドラマの吹き替えにある独特の不自然な感じをうまくネタにできてると思います。

吹き替えものの不自然さって、おおげさな演技とせりふ回しというのもあるのでしょうが、翻訳としてまちがってはいないのだが、普通の日本人の日常会話ではまずしない表現が出てくる点も根底にあると思います(「金輪際ごめんだぜ」とか「神に誓うよ」とか)。まー、翻訳者の人もできるだけリップシンクしなければならない都合があるので苦労はされているのだと思いますが。こういうまちがってはいないが、何か不自然というパターンは洋画の字幕でもよくありますね(特に某大御所のケース)。

産業翻訳の場合でも、間違ってはいないが不自然な訳にしてしまうというのはありがちだと思います。たとえば、

"Our customers' satisfaction level is much higher."

という原文(会話体)を訳したときに、

「我々の顧客の満足度ははるかに高くなりました。」

と訳すと、英文解釈としてはOKですが、産業翻訳としては個人的にはNGだと思います。普通の状況の話し言葉で「我々の顧客」という言い方をする人はあまりいないと思われるからであります。せめて、

「弊社のお客様にも高く評価していただけるようになりました。」

くらいにはしたいところです(文脈にもよりますが)。究極の目標は翻訳を感じさせない日本語にすることでしょう。もちろん、学術論文とか特許関係のように正確性最優先の場合には、あまりこなれた訳にするとまずいことになりますが。

結局は日本語のセンスということでしょう。ということで、テックバイザーではこのような日本語のセンスがあってITの基本知識がある在宅翻訳者を常時募集中です(とCMで締めてみたりします)。

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