オルタナティブ・ブログ > 栗原潔のテクノロジー時評Ver2 >

知財、ユビキタス、企業コンピューティング関連ニュースに言いたい放題

回り出すのかYouTubeのビジネスモデル

»

スラド経由で知りましたが、YouTubeが広告収入の一部を動画投稿者に還元することを検討中とのことです。詳細は明らかではないですが、当然、オリジナルなビデオの投稿者に限定してということでしょうね。既に投稿者に収益を還元する動画サイトもあるようですが、YouTubeはスケールメリットが違いますので、おもしろいコンテンツが一極集中することになる可能性もあります。ただ、オリジナルの動画とは言っても、たとえば有名な動画である"Evolutioin of Dance"にしても、実演者たるオッサンの許諾は得てるのかもしれませんが、バックの音楽の権利関係はどうしてるんだという問題はあります(ちゃんと許諾得てるのかもしれませんが)。

投稿者に還元される金額をどう計算するのかという問題もあります。単純にビューカウントでやると、つまらない映像に思わせぶりなタイトルを付けて金を稼ぐ輩が急増しそうです(今でも、そういういたずらはあって「ブリトニー・スピアーズのポロリ映像」なんてタイトルの動画の中身が子猫が寝てるだけの画像(それはそれでなごみますが)だったりします。2ちゃんでいうところのバーボンですな。)たぶん、視聴者の評価なんかを計算のロジックに入れることになるんでしょう。

これにちょっと関連して、893239(ヤクザ23区)というインディーズのショートムービーをYouTubeで配信してかなりのヒット数を集めているなんてニュースもあります。(Wikipediaにもエントリーがありますが、物言いがついてるので消されるかも?)監督は新人が中心のようですが、ちゃんとプロフェッショナルな作りの作品です。米国では、番組の一部や予告編をTV局自身がYouTubeに流すケースも結構ありますので、映像を見る側は、素人ぽい作りだから著作権上はOK、プロフェッショナルな作りだから著作権侵害とは言えないわけであって、電子透かしのテクノロジーでも普及しない限り、コントロールは困難に思えます。

もうひとつYouTube関連のニュースとして、FOXが人気TV番組の24が本放送前にYouTubeに流出してしまった件で、裁判所の命令に基づき投稿者の身元開示をYouTube側に要求しています。さすがに本放送より先に公開してしまうというのは一線を越えてしまってると思います(日本でこれをやったら著作者人格権の公表権の侵害ですね。)

とまあこのように、YouTube回りは当分の間はごたごたあると思いますが、最終的には、権利者、ユーザー、YouTubeのWin-Win-Winの形で収まるであろうと、個人的には楽観視しております。

Comment(1)