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解釈論(As Is)と立法論(To Be)について

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記録的(笑)なコメント数がついてしまった先日のエントリー、ある意味有意義な議論ができたかと思いますが、いっぺんにいろいろな論点を錯綜させてしまったがために混乱があったかと思います。そのような混乱の代表的なものは、解釈論と立法論の混乱であったと思います。この点については私もちょっとあいまいなところがあったので反省しております。

さて、解釈論と立法論とは何かというと、法律(というか制度一般)を議論する際の立ち位置です。解釈論とは現行の法律をどう解釈して適用していくかというといわばAs Isの議論です(三権分立で言えば司法(裁判所)と行政(役所)の機能)。一方、立法論とは法律を今後どう改正(あるいは制定)していくべきかというTo Beの議論です(三権分立で言えば立法(国会)の機能)。

両者間の境界にあいまいな部分があるのは確かです。法律は日本語で表されてますから、どうしてもあいまいな部分があり、解釈論を議論していても現状に合わせてこう解釈すべきという「べき論」(To Be)が絡んできます。また、立法論を議論する場合でも現行法の解釈をまったく無視して一から議論できるわけではありません。それでも、今、自分たちは解釈論を話しているのか立法論を話しているのかを明確に意識しておくことは法律を議論する際にきわめて重要です。

これに関して大変わかりやすいブログ・エントリーがありましたのでご一読をお勧めします。

余談: 弁理士の受験勉強をしている時に、「解釈論に徹し、立法論には深入りしないように」と予備校の先生に口を酸っぱくして言われました。弁理士は基本的に知財法の運用をする仕事で特許庁(行政)(ごくたまに裁判所(司法))を相手にする仕事なので、解釈論中心なわけです(現行法の立法主旨は知っておく必要がありますが)。ゆえに、弁理士試験も「現在の法律でどうすべきか?どう解釈すべきか?特許庁の現在の運用はどうなってるのか知ってますか?」という解釈論の問題が出ます。ここで、「現在の法律はここがおかしいのでこう改正すべき。現在の特許庁の運用はここがおかしいのでこうすべき。」という立法論を書いてしまい不合格になるパターンがあるらしいです。

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