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ミクシィとYouTubeと「ゴリラ・ゲーム」について

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またまた他媒体の記事ですみませんが、「YouTube:1760億円 vs ミクシィ:2200億円--あなたならどっちを買う?」というCNETのコラムを読んで思ったこと。

企業の将来価値は、市場自体の将来性、市場でのシェア、顧客のスイッチング・コストの高さの関数として表されると思います。市場の将来性があって、現在の市場シェアが高くても、顧客のスイッチング・コストが低ければ、競合他社にトップの座を奪われる可能性が高くなり、将来価値という点ではリスクが大きくなります。一方、スイッチング・コストが高ければ、市場のトップの地位を維持できる可能性が高くなり、正味現在価値も必然的に高くなります。オープン・ソースだとか、Web 2.0だとか言っても、結局は顧客のスイッチング・コストを高めて、何らかの形で「囲い込み」をすることが勝負ということです。

ジェフリー・ムーアのモデルでは、スイッチング・コストが低い市場リーダーを「キング」と呼び、スイッチング・コストが高い市場リーダーを「ゴリラ」と呼んでいます。ハイテク投資で勝つ方法は「ゴリラ」を見つけることであり、そのためには、市場創成期にすべての「ゴリラ」候補にまんべんなく投資し、「ゴリラ」となる企業がわかった段階で他の株をすべて売ることが最善の手段だそうです。この辺のお話しは「ゴリラ・ゲーム」という著作で詳しく述べられているのですが、現在、原書、翻訳書共に絶版となっているようです(Amazonのマーケットプレースの古本在庫は結構残ってます)。

「ゴリラ・ゲーム」理論はハイテク市場向けのものですが、ネット・サービス系企業の価値判断にも応用できると思います。要はスイッチング・コストの高さが勝負だということです。一般的に適切なコミュニティを確立できたネット・サービスは、ユーザーがそう簡単に他のサービスに移らない(=スイッチング・コストが高い)ということで、「ゴリラ」候補と言えるでしょう。

実際の例で言うと、ヤフオクなんかが典型的な「ゴリラ」だと思います。仮にヤフオクよりも低価格のオークションサイトが登場しても、ユーザーはそう簡単には移行しないでしょう。できたばかりのオークション・サイトでは多くの取り引きが行われる場としての価値を享受することは困難だからです。一方、Gyaoは「キング」だと思います。市場の浸透率は高いですが、もっと面白い番組を提供する類似サイトが登場すると、ユーザーがそっちに流れるリスクが高いと思います。

ミクシィは「ゴリラ」か、少なくとも「ゴリラ」最有力候補とは言えるでしょう(現在の時価総額が正当化できるほどの企業価値があるのかについては議論の余地はありますが)。では、YouTubeはどうなんでしょうか?YouTubeは、基本的に放送型モデルのGyaoとは異なり、コミュニティ系の動画サイトということになってますが、実際には、YouTubeのサイトで盛り上がってるというよりは、別のサイト(典型的には2ちゃんねる)からリンクされることで盛り上がっているように思えます。要は、YouTubeはコミュニティ・サイトとしてよりも動画置き場として活用されているのではということです。別サイトでの動画の埋め込みが容易にできることがYouTubeの特色のひとつなわけですが、この特色がスイッチング・コストを高めるという点では不利に働いている気がします。ということで、自分的にはYouTubeは「ゴリラ」候補ではあるかもしれないが、まだ「ゴリラ」の地位を確立したとまでは思えないわけです。

Comment(11)

コメント

K

http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000056023,20169127,00.htm

によると、『米「ユーチューブ」、日本の視聴者急増 「ギャオ」を逆転』だそうです。

「ユーチューブ」を一般の利用者が知ることになったのはつい最近のことのように思います。

にも拘らず「ギャオ」はあっさりと「ユーチューブ」に抜き去られました。

このスピード感こそが、「ユーチューブ」の底知れぬ力の源にあるように思います。

「ギャオ」は所詮国内レベルで、かつ一般の利用者は動画を投稿できません。

しかし、「ユーチューブ」はその逆です。

世界中の人々が言語に依存しない「動画」を投稿できるわけです。

Googleが世界のWebページの情報を集約したものであれば、「ユーチューブ」は「動画」に関してそんなものであるように思います。

「ユーチューブ」に投稿される動画の数のペースは指数関数的に増加中だと思うのですが、そんなトレンドを鑑みれば次に起こるのは・・・

きっと「ユーチューブ」での動画の検索だと思うんです。

「ユーチューブ」はそこに蓄えられた「動画の情報量」で「ゴリラ」だと僕は思います。

少なくとも、僕は「ユーチューブ」のサイトにて、好みのアーティストの音楽など、最近、よく聴くようになりました。

驚くほど、沢山の映像があります。著作権とか大丈夫なのかと思ったりもしますが・・・

mixiは所詮国内レベルのSNSに過ぎないと思います。

これから、インターナショナルなものが国内にやってきた時、PC98が辿ったような道、或いはPC通信のニフティと同じような結末が待っているような気がします。

無くなりはしなけど、インターナショナルなSNSにはきっとならないんじゃないでしょうか?

栗原潔

パソコンのようなテクノロジー物では、世界標準の前にローカル標準の勝ち目はないと思います。しかし、コミュニティ・サイトはいったんうまく回り出すとユーザーはそう簡単に移動しませんし、カルチャー的要素が大きいので、欧米の市場リーダーが日本でも勝てるとは限らないと思います。eBayがYahoo!に勝てなかったのがよい例です。
株価の妥当性の話は別として、ミクシィはそうとうアホなことをやらない限り「ゴリラ」の地位は揺るがないと思います(あくまでも私見ですが)。

mixiって昔のNIFTYに雰囲気が似ていると言われています。同好の士が集まっておしゃべりしているという構図です。だんだん参加者が増えて、アットフォームな雰囲気が保てなくなってくるとだんだん離れていく人が増えるのではないかと思ったりします。
NIFTYのようにより多くの仲間を集めやすいものが他にもあることを知ればどんどん飛び出していってしまうようにも思います。出て行く人と新しく来る人がバランスを保っている間は大丈夫でしょうけど、いつまで保てるか。一度人が減り始めると収束するのは早いような気もします。まあ、需要はある程度はあるので、拡大路線をとらなければ長続きすると思いますが、どうでしょうか。

栗原潔

あまり記憶が定かでないですが、Niftyが廃れていったのは有償モデルにこだわったせいで、ユーザーがあめぞうや2ちゃんねるなどのネット掲示板に流れたせいではなかったでしょうか?
Niftyが広告収益モデルに移行して、うまくやってれば、今のミクシィの座はNiftyのものだったかもしれません。

Yutaka

Nifty会員として言わせてもらいますと、Niftyが廃れたのはNifty会員のみが参加できるテキストベースのフォーラム制度を廃止した事です。
 これにより長い時間をかけてユーザーが整備してきた自動巡回及びオフラインでのログ読み/コメント付けのシステムが崩壊し、ユーザーの時間の自由が失われたこと(Webベースのものでは適切な自動巡回/ログ読み/コメント付けのシステムをすぐには構築できなかった。この為、ログ読みとコメント付けをするためにはその間オンラインの端末に張り付いていなければならなくなった)。IDの不確かな一般の非Nifty会員でもコメント付けが可能なWebフォーラムに移行した事による発言・コメントの信頼性の低下(背後には、その発言者を信頼できるか否かの判断基準の崩壊。それまでは一部の例外を除き発言者は皆一意のIDを使用していたため、本人が公開するプロフィールと合わせ、このあたりの判断基準が容易に築き上げることが出来ていた)などが上げられると思います。
# 要するに、既存のアクティブユーザーのニーズを拾い損ね、或いは捨て去ってしまったが故。

 現在Mixiが流行っているのも、(自動巡回ツールは未整備なものの、)一応は発言者のプロフィールを(本人の日記閲覧なども含め)特定可能であるため、コミュニティにおける会員の発言背景などを確認する事による互いへの「信頼性」が醸成されやすい点に理由の一端は求められるものと思います。
# ある意味2ch疲れか?

栗原潔

>一般の非Nifty会員でもコメント付けが可能なWebフォーラムに移行した事による発言・コメントの信頼性の低下
↑これは、Niftyにとって自殺行為だったという他ないですね。

Yutaka

なぜNiftyがこんな自殺行為をやったかというのも、分析してみるとおもしろいでしょうね。
 富士通の完全子会社化(日商岩井系の人間が抜けた?)、2ch(系)の勃興(その光と影)、(旧来の)フォーラム制を支えるインフラの老朽化/維持或いは代替システム開発予算の手当、経営方針、商用パソコン通信サービスとして成功できた理由(日経、ASCII、BIGLOBE等他社が失敗した理由)の解明、AOLに優位を保てた理由etc..、色々な観点から切り込めそうです。
 そう言う仕事をしていたら、本の一冊も書けそうですね。
# 売れるかどうかは兎も角。^^;

TTY手順で独自UNIXの技術者しかいなくて、とか。ダイヤルアップのインターネットに各種自動巡回のアクセスソフト以上の使い心地を提供できなかったとかとかありましたね。
TB先にも書いたので、ご参考にしていただけると幸いです。

■□ Neon / himorogi □■

Niftyが旧フォーラムを捨てた最大の理由は、Nifty-Serve、もっと言えばCompu-Serve以来の改築増築の繰り返しでシステムをメンテナンスできなくなったからでしょう。Web移行当時の内部事情は知りませんが、それ以前のBBSオンリーの時代から、システムの限界に伴う移行は何度も話題になってはうやむやに終わってました。
Webで無料会員を差別化できなかったのは、もしかするとポリシーの問題ではなく、そこまでの準備が間に合わず、見切り発車せざるを得なかったのかも。
最近ココログで全く同じ失態を繰り返してるのを見ても、多分運営側のリソースが不足してるのでは。

栗原潔

さくさく動く。機能追加がすぐできる。というのはコミュニティサイトの重要成功要因のひとつだと思います。要するに現場を軽視すなーということです。
ミクシィはこの辺ではうまくやってこれたと思います。
ビッダーズは開業当時はひどかったですが、うまくリカバーできたと思います。2ちゃんねるもUnix板の有志にスクリプトを全面再構築して、崩壊の危機を乗り越えたんですよね。確か。

匿名

shockers those,Debbie Antonovics nonadaptive honoraries - Tons of interesdting stuff!!!

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