「通信と放送の融合」とミニコン・ベンダーの死
アメリカのメジャーTV局FOXが、自社コンテンツ(「X-Men」などの映画や「24」、「プリズン・ブレイク」などの人気TVドラマ)をインターネットで販売し始めたというニュース(参照記事(英文))。iTMS経由でTV番組をダウンロード販売するというのはちょっと前に始まってますが、このままだとAppleに動画コンテンツのチャネルを独占されるという危惧があったようです。
TV番組は1本1.99ドルだそうです。以前、YouTubeについて書いたエントリーで見逃したTV番組をもう1回観れるなら自分は300円くらいなら払うと書きましたが、やはりこの辺が相場感覚なのでしょうか。また、ダウンロードした番組はパソコン2台にまでコピー可(さらに1台の携帯機器にもコピー可)という緩いDRM(というかライセンス契約?)のようです。不便なコピーワンスを消費者に強制するどこかの国とは大違いです。
米国における「放送と通信の融合」の特徴は、放送コンテンツを持っている側が積極的ということと、権利管理が比較的緩いという点でしょう。要はコンテンツを広く流通させて市場が広がれば最終的に儲かる、むやみやたらに既得権を守っていると市場が広がらず結局自分が損をするという考え方です。
この辺の動きをオープン・システムが登場した時のミニコン・ベンダーの動きにたとえてみるとおもしろいかもしれません。独自ハードで顧客を囲い込んでいたミニコン・ベンダーにとって、オープン・システムの存在は脅威でした。ミニコン・ベンダーの対応は二種類に分かれました。
もはやハードの囲い込みだけではビジネスにならない、これからはソフトやサービスも含めて勝負だ、既得権を失うのはちょっといやだが、自分もオープン・システムのビジネスに参入だと決断したベンダーはその後も成長できました(HPなど)。一方、オープン・システムへ向かうトレンドを無視し、自社の独自ハードの既得権益に固執したベンダーは基本的にすべて消え去りました(Apollo、Prime、Wangなど)。「放送と通信の融合」を考える上で、良い教訓だと思うのですが。