【徹底討論!?】SaaSとASPはどこが違うのか?
今、某誌向けにSaaS("Software as a Service")の記事を書いてます。現状のSaaSの定義は、「アプリケーション・ソフトウェアをユーザーが自分のシステムに導入して使うのではなくて、ソフトウェア・ベンダーが所有するインフラで稼働してもらって機能だけをネット経由で使うモデル」という感じでしょう。そうなりますと、SaaSとASPモデルはどこが違うのという話になります。
ネット上で「SaaSとASPはここが違うんだ」という意見をサーチすればするほど、私的には「やっぱり同じでは」と思えてしまいます。たとえば、
1.ネットコストの違い: 昔のASPは通信費が高かったが、SaaSは高速回線を安価に使用できる(参照記事)
これは利用環境が変わったというだけで、特に本質的な違いではないのでは?
2.ホスティング方式の違い: ASPではシングルテナント(1サーバ=1ユーザー)が普通だったが、SaaSではマルチテナント(1サーバ=複数ユーザー)が主流(参照記事は1と同じ)
これまた利用環境の違いであって、モデルの本質的な違いとは思えません。
3.アプリケーション設計の違い: ASPはクライアント・サーバ・アプリケーションを無理にネット対応にしたもの、SaaSは最初からネット向けに設計(Wikipediaでの説明)
そうなんでしょうか?ASP時代にもネット・ネイティブのアプリケーションはあったと思います。
ということで、今の私の結論は「SaaSとASPに本質的な違いなし、ASPにはあまりビジネス的に成功できなかったという悪いイメージがあるのでそれを避けるために、ベンダーがマーケティング上SaaSという新しい言葉をプロモートしている」というものです。そもそも、1990年代末のASP時代から"software as a service"という言い回しはよく聞かれてました(SaaSという短縮形は一般的ではなかったかもしれませんが)。
まだ、原稿の締め切りまでには時間があるので、この意見に納得できない方、ASPとSaaSの本質的な違いを私に説明して説得してみてくださいな(^_^;)。
ついでに書いておくと、SOAとSaaSがごっちゃにされることもたまにありますよね。同じ「サービス」という言葉が出てくるがゆえだと思いますが、SOAはソフトウェアの部品化の話ですから、SaaSとはちょっと方向性が違います。
たとえば、社内システムのアプリケーションをビジネスプロセスごとに分割して相互呼び出しできるように再構築するのはSOAですが、SaaSとは呼べません。salesforce.comはSaaSではありますが、(少なくとも現状では)SOAではありません。もちろん、将来的には、アプリケーション丸ごとだけではなく業務プロセスの部品をネット経由で使わせるモデルが一般化すると思います(前回書いた、Google Checkoutなんかはその例です)。そのようなシステムはSaaSでありまたSOAでもあるということになるでしょう。