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Web 2.0の世界は大企業が有利?

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昨日、サンのWeb 2.0イベントで話して来ました。最後のパネルで来場者からの質問コーナーがあり、「Amazonのような書籍販売サイトを考えているが、どうすれば成功できるか?」みたいな質問がありました。時間の関係で私は回答しませんでしたが、この場で正直に回答してしまうならば「99%無理」ということになるでしょう。

リアルの書店ビジネスならば、大規模書店に対抗するためには小規模書店は独自の品揃えで勝負することができます。たとえば、アート系の本の在庫を充実させる等です。要するに、大企業がヘッドにフォーカスしているのに対して、テールにフォーカスすることで勝負できるということです。

しかし、Web 2.0の世界では、大企業自身がヘッドだけではなく、テールにもフォーカスしていますので、この戦略は厳しいものがあります。ネット販売では本の在庫の物理的制約が少ないですから、品揃えを際限なく広げ、サーチやリコメンデーション・エンジンでマイナーな商品の情報を探し出すこともできます。いわばAmazonは大規模書店であるだけでなく、小規模専門店の集合体とも呼べるわけです。

SNSなどでも同じです。mixiなどのSNSは、ある意味ニッチなコミュニティサイトの集合体ですから、単にニッチにフォーカスしただけでmixiに対抗することはできません。

要するに、Web 2.0の世界で、小が大に勝つためには相当に斬新なアイデアが必要になるということです。しかも、魅力的なアイデアであればすぐ大手に真似されてしまいます。Web 2.0の世界で顧客のスイッチング・コストを高めるのは結構大変です。特許でも取れれば別ですが。(次回に続きます)

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