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謹賀新年:2006年はどんな年

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ブログ読者のみなさまあけましておめでとうございます。今年もご愛読よろしくお願いします。

せっかくの元旦エントリーなので、今年のITトレンドの予測などを書いてみようと思います。

1.Web 2.0とエンタープライズ・コンピューティングの融合: メガトレンドとしてのWeb 2.0は揺るぎがたいと思います。マイクロソフトのRay Ozzie氏の社内向けメモを読んでますますそう感じました(しかしこのメモ、業界アナリストのレポートよりも鋭い分析ですね)。ドットコム時代を思い出してみると、ミニバブル状態、とんでもなビジネスモデル、ベンチャーの倒産という状況は必ず生じると思いますが、その中から真の勝利者が出てくるはずです。ここで大事なのがWeb 2.0的な世界とシリアスなエンタープライズ・コンピューティングの融合だと思ってます。TVJP的には、Web 2.0+エンタープライズ、さらに知財を組み合わせたところにビジネスチャンスがないかと思っています。

2.コンプライアンスの重要性ますます増大: 2005年には日本でもあってはならないようなシステム障害や不祥事が続きました。数年前の米国のように資本主義社会の根本的仕組みに弛みが生じている状態だと思います。また、過去の日本のような個人レベルのまじめさや性善説に依存できていた時代は終わってしまったということだと思います。コンプライアンス、要するに、法律やルールを守れという当たり前のことが、今になって騒がれているのもしょうがないことでしょう。コンプライアンス、特に、J-SOX法へのコンプライアンスと自社製品を半ば無理やりに結びつけてマーケティングする「便乗商法」も増えてきてますが、本当に大事なのはプロセスの監査だと思ってます。日本でもシステム監査にもっと注目度が高まるべきだと思っています。

3.コンシューマー主導のテクノロジー進化: かつては、企業向けに作られたテクノロジーが長期的にコストダウンして、消費者市場でも受け入れられるようになるというのが一般的な流れだったわけですが、今やその方向は逆転しつつあります。要するに、先進テクノロジーが消費者市場で普及した後、企業の世界で応用されるというケースが増えてくるであろうということです。たとえば、Cellプロセッサやブログなんかが典型ですね。今日のテクノロジーの主要な構成要素は半導体とソフトウェアです。どちらも固定費が大きく変動費が小さいコスト構造を持ちますので、大量に作ると極端に安く出来ます。つまり、まず消費者市場でボリュームを稼がないとテクノロジーとしては普及させにくいということです。消費者向けテクノロジーのエンタープライズへの展開、この辺にも商機があると思ってます。

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