フリーランスになってみて
私事ですが、2005年の最大の事件は、会社辞めてフリーになったということです(今の肩書きは名目上は会社経営者ですが、実質的にはフリーランスですね。)
結構な歳になってから独立したこともありますし、実質的に一人での会社立ち上げであり、最初は不安でしたが、今では良い感じで仕事のパイプラインも詰まって順調に回りだしています。
独立(会社立ち上げ)からおよそ半年経ったので、同じような立場(わりと歳が行ってから、IT関係でプロフェッショナルとして個人で独立する人)向けに、僭越ではありますが、私の経験からアドバイスさせていただければと思います。
収益源は最低3つ: これは独立前に相談した人から受けたアドバイス。ひとつの仕事だけを当てにするのはハイリスク過ぎます。自分の場合は、ITコンサルタント、弁理士、翻訳家というのが3つの収益源です(ライター業も加えて良いかもしれません。ミュージシャン業も今年あたりから「収益源」にできるとうれしいですが。)
法人化はした方が良い: 独立する場合に個人事業主でいくか法人化するかという選択肢があると思います。これは法人化することをお勧めします。個人事業の方が管理上楽かもしれないですが、やはり40代で独立するとなると収益目標もそれなりに高いレベルにおく必要があり、いろいろな意味で法人化した方が得です。また、なんだかんだ言っても名刺の肩書きを気にする人も多いですし、企業によってはある程度以上の規模の案件は法人でないと契約してくれないところもあるようなので。
オフィスは借りるべき: 最初はコストを抑えたいので自宅で仕事ということも考えられるかと思いますが、家がものすごく広いとか独身であるとかでない限り、やはり自宅外にオフィスは借りた方が良いと思います。自宅で仕事するとどうしても公私のケジメがつかなくなってしまいます。自分の場合は特に弁理士業でかなり機密性の高い情報を扱いますので、自宅や他の会社の間借りでというわけにはいかなかった事情もありますが。
事業ポートフォリオを考える: 先述の複数の収益源の話にも関連するんですが、仕事のタイプは複数あるべきです。利益率の高い仕事、金額が大きい仕事、キャッシュサイクルが短い仕事、パブリシティ向上に役立つ仕事等々をうまく組み合わせるということですね。堅い定期的収益源を確保して、付加的に利益率の高い仕事やパブリシティ向上に貢献する仕事を組み合わせられれば最適でしょう。
ディスプレイ、椅子、データバックアップには金をかける: 前のエントリーでも書きましたが、個人で情報系の仕事をする場合に必須の要件ですね。
健康に気をつける: 会社辞めたことによる最大のリスク要因が健康の問題でしょうね。自分はどんなに忙しくても最低週一のスポーツクラブだけは欠かさないようにしてます。(そう言えば、超多忙弁護士さんが事務所に泊りがけ状態で仕事してても、スポーツクラブだけは通っていたという新聞記事を読んだことがあります)。
保険を見直す: 上の話にも関係しますが、収入保障保険は検討した方がよいと思います。大病等で収入が途絶えた時に毎月一定の保険金が支給される保険です。短期の休業は貯金でなんとかできるので、貯金ではまかなえないくらいの長期の休業に対応できる保険にした方が保険料を安く出来ます。そもそも、保険って貯金ではまかなえないくらいの大きなリスクに対応するためと考えるべきですよね。「1日の入院から保障」とかを売りにしてる保険がありますが、1日の入院で1万円もらうために保険料払い続けるくらいなら、毎月1万円貯金してた方が良いと思います。どっちかというと「長期入院でも保障」することが保険の意味だと思います。
時間管理を考え直す: 会社員の場合は、極端な話、仕事を作って忙しくしていれば(忙しいように見せていれば)給料はもらえます。フリーの場合、常に、収益に結びつくかどうかを考えて時間を使わなければなりません。この切り替えができない人は独立はしない方が良いと思います。
趣味の時間を持つ: 常にプレッシャー下で一人で仕事してると精神的に厳しい感じがします(自分も去年9月ころの一番忙しかった時期はちょっとヤバかったかも)。やはり息抜きは大事です。
キャッシュフローを考える: 物販やソフト開発ならともかく、個人でコンサルタントやってると家賃と給与以外にあまりコストがかかりませんので、資金繰りの問題はそんなに大変ではないですが、やはりキャッシュは大事です。細かい話ですが、たとえば、退職金で住宅ローンの残債を繰上げ返済なんていうのはあまり良いお金の使い方ではないですね。一般論ではありますが、3%以下の利息で借りているのであれば、可能な限り借りておいて、手元にキャッシュを残しておいた方が良いかと思います、
他にもいくつかあると思いますが、思いついたらまた書いていきます。独立を考えられている方でより具体的なご質問があれば、メールいただければできる範囲内でご回答します(当然ですが、匿名でのご質問には回答しかねます)。