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IT業界にどっぷり浸かって40年以上現役です。温故知新。人にとってITとは何かを問います。

データベースをユーザに解放し、SELECT文を教える。

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昔株式会社アスキーの社内システムを開発したことがある。上場するための準備でもあり、雑誌や書籍の原価計算から、仕入販売管理、財務会計システムまで、いわゆるトータルシステムとしてすべて手作りで構築した。そのときRDBにinformixを使った。一日の業務が終わり、夜の12時からバッチを走らせ、いくつかの参照用DBを作った。これはユーザが自分でSQLを叩いて自由に情報検察してもらうためだ。帳票や検索画面は必要最低限に留め、あとはユーザ教育に力を入れた。SQLのSELTCT文を教えるのである。データベース定義書を公開して、直接SQLを叩いてもらう。これはユーザにとってもシステム部門にとっても大変助かるやりかただった。こまごまとした、しかし緊急性の高い検索要求は、システム部門にはほとんど来なかった。ユーザはデータに精通し、システムのことをよく理解していた。骨太な、必要な機能しかないシンプルなシステムだった。
私が常々不思議に思うのは、こういった試みをしているところをあまり見かけないからだ。システム部門はデータには興味がなく、システムに興味がある。現場はデータに興味がある。しかもデータを入力したり加工したり出力したりは現場の仕事だ。データはユーザの物だ、もっと自由に直接検索できるようにできないものだろうか。そうすればお互いにとても手間が省けるはずだ。

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