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マイクロソフトの功罪

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1980年代にパソコン業界にいた人は幸せである。夢のような時代だった。私はこの時代を忘れないために本を書いておいた。もうとっくに絶版だが、探したらここでちょっと紹介されていた。この本を書き終えるころWindows2.0が出て、パソコンソフトの戦国時代の終焉が予感された。戦争のない太平な徳川時代(マイクロソフト:ビルゲイツの時代)の到来だ。恩恵はさまざまにあった、ソフトを選ぶのにパソコンメーカーや機種を気にしなくてよくなった。ソフトメーカもWindows対応だけ考えれば済むようになった。ユーザもWord、Excel、PowerPointに統一することで、データ交換ができるようになった。経済の効率が一気に進んだ。
ただ、その影で優秀な汎用ソフトが売れなくなった。
もしマイクロソフトが、OS以外のソフトを提供することを一切しなかったとしたら、今どうなっているだろうかと思うと、わくわくする。インフラを提供する会社の責任は重い。自らの優位性を利用して周辺ビジネスを奪うことは、いとも簡単にできる。その結果、進歩が鈍り、革新的なものは生まれなくなる。ビルゲイツが現役を引退するにあたって、世界の人々にお土産をくれないだろうか。それはMS-Officeのデータ構造を公開し、その仕様のバージョン管理を第三者に任せることだ。すると、そのフォーマットに準拠したさまざまなソフトが登場するような気がする。

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