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IT業界にどっぷり浸かって40年以上現役です。温故知新。人にとってITとは何かを問います。

安易なシンクライアント化を絶対に阻止する

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シンクライアントとは「ダム端末」のこと。「ダム端末」とは1970年代から80年代にかけて一世を風靡したIBM3270に代表されるオンライン端末のこと。インテリジェンスがないから「バカチョン端末」とも呼ばれていた。あれから30年。パソコンが端末になり、マンマシンインターフェースがどんどんよくなり、パソコン管理の面倒くささからWebになり、さらに操作性を改善したRIA、リッチクライアント技術が台頭し、ようやく理想の形になってきた。
そこへシンクライアントだ!。何を考えているのか。シンクライアントが出てきた背景は、セキュリティー問題に尽きる。後ろ向きな理由だ。この動きは、ユーザが獲得してきた自由の世界に真っ向から反対するものだ。「角を矯めて牛を殺す」とは、まさにこのこと。商売を考えているメーカーと責任回避をしたい企業のIT部門の思惑が一致しただけに過ぎない。まさにユーザ不在。

決定的なことを言おう。シンクライアントの販促の最前線にいる人でさえ、企業のパソコン端末の15%でも普及すればいいほうだと内心思っていること。シンクライアントを推進している人たちを何人も知っているが、与えられた仕事だからやむを得ずやっているという雰囲気しか感じられないこと。こんな端末を自分に与えられたら嫌だと思いつつ人に勧めていること。また、もし、自分の端末がシンクライアントになったとしたら、有能な人は、必ず自前のパソコンを持つだろうこと。なぜならシンクライアントはオフラインでは使えないから、いつでもどこでもどんどん仕事をしようという人には、実にやっかいな代物となるからだ。そのうち、有能な人は、そんな馬鹿なシステム環境しか提供できない会社に愛想をつかして転職してしまうかもしれない。社長さん、ご自分の会社は大丈夫ですか。社内のIT部門が、責任回避のためにシンクライアントを推進しているという本質に気付かないと、会社の将来を危うくしますよ。

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