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IT業界にどっぷり浸かって40年以上現役です。温故知新。人にとってITとは何かを問います。

勘定系業務をアウトソーシングし情報系を自社開発する英断

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私にとって「目からうろこ」とはこのことだった。年商1000億円企業に急成長したドラッグストアが断行したことは、ホストコンピュータでやっていた販売管理や会計のシステムをオープン系に移行した上、メーカー系SIerにアウトソーシングしてしまった。そして手の空いた情報システム部の社員全員を、情報系システムの構築に振り向けた。その理由は、日々変化する経営環境に迅速に対応するためには、その時々必要な情報を瞬時に抽出し経営判断していかねばならないからだ。勘定系はルーティンワークだから、決められたことを正確にきちんとやることが求められる。これはやり方さえ決めれば外部委託もできるし、その中での工夫も含めて習熟したアウトソーシング先のマネージャに任せてもいい。しかし情報系は戦場だ。経営側の呼吸が情報システムを担当する者に直接伝わってこそ経営の右腕になれる。この思い切った方針転換は大成功し、会社の急成長を支えているという。
陣頭指揮した財務部長兼経理部長の佐藤取締役は、以前パソコン系出版社の経理部にいたとき、自らSQLコマンドを駆使して経営情報を抽出し、タイムリーに経営者に提出した経験がある。彼は、昼休みであっても、暇さえあればデータを検索し会社の状況を見ていた。経理の人間でありながら、データベースの何たるかを、より深く理解できたのだ。いやむしろ経理の人間だからこそ、データ基地であるデータベースを、より深く理解できたのだと思う。
私は佐藤さんに「データはユーザのものです。だから自分でSQLのコマンドを叩いてデータに接することを覚えてください」と言って学んでいただいた経緯がある。それば見事に結実した思いだった。

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