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日々の「ハッ、そうなのか!」を書き留める職遊渾然blog

哲学を三年間学ぶ中高一貫校

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授業は、はじめに三年間の文法クラス、ついで一年間の古典文学クラスと一年間の修辞学のクラス、そして三年間の哲学クラスからなった。この最後の哲学のクラスの授業はアリストテレスの哲学体系を内実としたいわゆるスコラ哲学で、論理学、自然学、形而上学が三年間にわたってふりあてられた。このうち哲学の第一学年には数学が、第二学年には道徳が付随していた。そして毎月全員が集まって大「討論」が行なわれた。

……中高一貫校と書きましたが、日本の学校でも現代の学校でもありません。17世紀フランスのラ・フレーシュ学院のカリキュラム。ルネ・デカルトが1607年に11歳で入学したそうですので、まあ年齢的には中高一貫校くらいかな、という見立てでタイトルを付けました。上記の文章は、小林道夫『デカルト入門』からの引用です。

具体的に何を学んでいたのかはよく分かりませんが、この時代にはハイティーンの時期に哲学を3年間も学んでいたのかと、ハッとしました。Wikipediaによれば、スコラ学学校(ラ・フレーシュ学院もその一つと仮定しています)では「読解」と「討議」という方法が用いられたそうです。

中学・高校時代を振り返ると、学習内容よりも学習方法、「何を学ぶか」よりも「どうやって学ぶか」に重きを置いて教えて欲しかったと、しばしば思います。徹底的にテキストを読み込んでみる(読解)、自分なりの論理を構築して文章にしてみる、立場を決めて意見を戦わせてみる(討議)、図解してみる、実際に試してみる……。テストで問われたのは内容の理解度だけであり、どうやってそれを理解したかは問われませんでした。

効率よく学んで獲得した90点も、無駄ともいえる時間を費やして獲得した90点も、同じ評価でした。もし「どうやって学ぶか」も学ばせるのであれば、目標設定の方法やモチベーション維持の方法を教え、そういった方法をどれだけ使いこなせたかを評価に加える、なんてことも考えられそうです。

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