「重曹」の商品力
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『自滅する企業 エクセレント・カンパニーを蝕む7つの習慣病』を読んでいたら、重曹についてハッとする記述がありました。以下は「アーム・アンド・ハンマー」というブランドのベーキング・ソーダ(重曹)を作っている、チャーチ・アンド・ドワイト社の簡単な歴史です。
- 1846年、ベーキングパウダーの原材料を生産するために同社を設立
→ 家庭でパンを作らなくなったので需要減退 - 第二次世界大戦後、歯磨き粉として商品化
→ 「クレスト」「コルゲート」などの商品に追い出される - 無リン洗剤として販売
- 消臭剤として販売
「もちろん、物知りの消費者はずっと前から、重曹の箱の口を開けて冷蔵庫に入れていた。会社はただ、この使い方を商品化しただけだ」 - 最近ではヘルスケア用途にも
「腎臓透析で使う医療用の重炭酸ナトリウムを製造している」
「スポーツ医学の研究では、スプーン一杯の重曹を水かジュースに溶かして飲むと、エネルギーを高めることが報告されている」 - (ジャグディシュ・N・シース 『自滅する企業 エクセレント・カンパニーを蝕む7つの習慣病』 p201より抜粋)
そして『ちなみに、創業一六〇年のこの会社は引き続き順調だ。』と締めくくられています。
重曹(=炭酸水素ナトリウム、NaHCO3)は簡単な化合物で、誰でも作れて値段も安いものです。
高機能バージョンもオプションサービスもありません。
その重曹だけ(C&D社のHPを見ると重曹「だけ」ではないですが)で160年も生き延びているとは!
「商品力不足」に悩んでいる(と信じてしまっている)ときに振り返ると、様々な学びが引き出せそうな事例です。
#僕は化学科だったので炭酸水素ナトリウムはよく使っていましたが、「重曹」が炭酸水素ナトリウムのことだと知ったのは、かなり後のことでした……。
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