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日々の「ハッ、そうなのか!」を書き留める職遊渾然blog

奇商クラブ、あるいは「人ひとり食べていけないような小さなニッチは存在しない」

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『自らの仕事を「書棚を編集する」と表す』、「選書業」を専門とする幅允孝さんの記事を新聞で読みました。書店や図書コーナーなどから依頼を受けて、本を選び棚に割り付けるのが仕事。

 独立前、「こんな職業が成り立つのかと思っていた」と苦笑する。仕事が絶えないのは、本を求める顧客に幅のメッセージが響いている証だ。
― 「本の舞台 多彩に演出」 日本経済新聞(夕刊) 2007年4月17日

「こんな職業が成り立つのかと思っていた」と苦笑する。
こう言えるシチュエーションに身を置きたいと思っていたせいか、この一文が光って見えました。

チェスタトンの『奇商クラブ』という短編集をご存じでしょうか。奇商クラブは会員制で、入会資格は以下の通り。

会員は既存のいかなる商売の応用、変形でない完全に新しい商売を発明し生活を支えなければならない。

「人ひとり食べていけないような小さなニッチは存在しない」。
自分を励ますためにときどきそう言い聞かせています。
考えてみると、その源はこの本を読んだときの痛快さにあるような気がします。
こんなフィクションを自分のキャリア創造の糧にするのはおかしいかもしれませんが、実にそんな気がする。

自分が諦めたその道で、独創的なやり方でメシを食っている人がいる。
そんなことになったら、さぞ悔しく羨ましく感じると思います。
そういう後悔はしたくない。

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