フェルミ推定で考えるスパム商法
『広い宇宙に地球人しか見当たらない50の理由』という本の書評(Passion For The Future)で「フェルミ推定」という言葉に出会った。
この本で面白かったのは何度も出てくる「フェルミ推定」の方法論。未知の数字のおおよその大きさを求める工夫。「シカゴにはピアノ調律師は何人いるか?」 (略)などの質問に対して、おおざっぱな桁レベルの答 えをどうやって見積もるかのノウハウである。
どういう方法なのか知りたくなって検索。同じ本の感想を書かれている別の方の日記から引用させていただくと:
- シカゴの全人口を300万人とする。
- 一世帯の家族数を5人として60万世帯。
- 20世帯に1台ピアノがあると仮定する。ピアノの数は3万台。
- 一台あたり一年に一回調律すると仮定すると調律回数は3万回。
- 一人の調律士が一日2台、年間労働日数を200日とすると調律回数は一年に400回。
- 3万台を400回で割ると75人という結果となる。
「フェルミ」という名前からむやみに難しいものを想像していたので、なぜかホッとしました。このような考え方は経営分析や計画などでもよく使われますね。
見積もりといえば、ふと、先週見かけた「Microsoft、ドイツでスパム業者を提訴」という記事を思い出しました。
Microsoftに提訴されたスパム業者は、月額625ドルでサーバを貸し出し、毎時10万通、月に7400万通のスパムを送信できるとうたっていた。
こんなに撒いてどれほど儲かるものだろうか…7400万通ものメールアドレスを持っているかどうか分からないので、当てずっぽうに「一般名詞+数字@大手プロバイダーのドメイン」というメールアドレスを生成し、1万円の商品を紹介するとしましょう。
- 一ヶ月に送信するメールを7000万通とする
- 実際に誰かのメールボックスに届くのが10%とすると700万通
- 100人に一人が本文を読むとすると7万通
- その中の1000人に一人が購入するとすると70×1万円=月商70万円
やっていることの反社会性やリスクを考えると、それほど割が合う商売ではなさそう。
しかし、実は僕の推定を裏切るデータがあります。それは『「ペニスを大きくするサプリメント」のスパム広告に注文殺到』という、2003年の記事。
4週間でおよそ6000人が電子メール広告に反応してこの商品を注文したことを示していた[現在はサイトから削除されたとみられる]。大部分の顧客は、カプセルが入った1本50ドルのボトルを2本注文していた。
6000人という顧客数も、50万ドル以上という月商も、僕の常識によるフェルミ推定を大きく上回っています。
メールの送信数×到達率×開封率×購入率
のどこかが大きく違っているようなのですが、見当がつかず…。
▼ネタ元
『「送料負担」でスパム対策』