コラボレーション企業訪問 最前線 ~X社訪問記 Part1~
<逆境>
「吉田さん、カッコいい夢物語を聞いても現実感がないね。とにかく、もうNotesじゃ駄目です。 本当はNotesの機能強化続けるつもりないでしょ? もう、Notesの時代じゃないですよね。それにね、、、」
営業からの依頼で5年ぶりに訪問したお客様で、Lotus製品の将来とNotes/Domino7の最新情報を簡単にご紹介した直後に、情報システム部門のリーダークラスの技術者が言いはじめた。
私も私の妻もこの会社の商品が好きで、自宅ではその商品を10年来愛用している。妻からは「行くことあったら、商品もらってきてー(^o^)丿」と言われているほどのである。しかし、当然、そんなこと言い出せる雰囲気ではない。
彼の話はさらに続く
「A社の人の話では、Notesは無くなるから、今後、再構築しなきゃいけなくて莫大な投資が必要だし、LANの負荷が高いし、IDの管理を、、、、、A社の人も“Notes入れている企業は、みんなが勝手に情報をためてしまってゴミばかりになっている”と言ってましたよ、、、、、、、、、、」
<見識>
このA競合他社の営業が3年前の常套手段であるNotesのイメージを悪くする策を使っているところを見ると、恐らくこの営業はアマチュアである。 お客様の視点で情報共有方法からソフトの選定に落とし込んでくる営業は手ごわいが、他社製品を中傷してくることでしか自社製品を語れない営業は弱い。
ご迷惑をおかけしているらしいので謝罪し、問題点、課題を整理させていたくことにした。 ちなみに、「理由もわからず簡単に謝るのが日本人の悪いところだ」と言う人がいるが、私はこの文化を気に入っている。
ただ、紳士な私としても言っておかなければならない。
「シェアの件に関しては、私たちも含め自社に都合のいいものを出すのは当然なのですが、A社の営業さんの言われているNotesの問題点に関しては、いくつか間違っていることがあります。意図的なのか、知らないのか、わかりませんが。 その営業さんが今度来社されるときに、お邪魔させていただきますので、一緒に話をさせていただけませんか。 意図的に間違ったことを説明しているのであれば、それはビジネスのやり方が間違っています。」
事前にLotusの営業にお願いして参加してもらった現場リーダーとIS部長が技術リーダーをなだめ、多少、大げさだったこと、そして、そこまでしなくても信用すると言われ、問題点を簡単に整理した。 一つずつ私の見解と解決策を提示することにした。
<NotesDBの氾濫>
「まず、NotesDBの社内への氾濫ですが、さすがX社様ですね。 当初の目標である“各部門で自由闊達に情報共有”を達成したわけです。 おめでとうございます。 貴社は既に情報共有する環境と文化が出来ています。 これを捨てて、一から始めるのは、IT投資コスト以上の大きな損失だと私は思います。 他社のグループウエアを利用していたのでは、情報が各部にあふれるという状態にならなかったでしょう。 みんなが利用しないイントラネットが沢山たっていたり、メールしか利用していなくて、大切な情報が個人のメールBOXに埋もれて、消えていったりしているはずです。 Notesを選択してよかったですね。 せっかく情報が蓄積されてきているわけですから、それを全社で統合利用するステップを提案させていただけますか?、、、、」
イントラネットとWebメールを中心にしたグループウエアは導入が容易な反面、コンテンツをWebマスターのような方が作成提供しなくてはならず、結果としてコンテンツの鮮度維持が難しく、しばらくすると、情報提供がとまり、グループスケジューラーしか利用されなくなる。 これでは情報共有の目的は果たせない。 また、メール中心でファイルサーバーの内容をポータルから利用するような製品を導入した場合、結局、ファイル単位での共有となり、情報共有はできない。 Notesだからこそ、現場の情報と工夫が生き、情報が蓄積され再活用が進むのである。
<Notesの将来性>
私からの提案依頼に対してIS部長が落ち着いた調子で言い始めた。
「Notesによって顧客情報や情報共有が進んだのは事実でしょう。 しかし、それらを統合するための投資に関しては、将来性のある技術で行いたい。 さっき彼が言ったように、Notesの将来性に関しては不安を持っています。 A社の営業の話に感化されている面もありますが、私個人としてもWebに行くべきだと感じます。 現在のシステムを全てWebベースで将来性のあるプラットホームに、、、、、、、、」