グローバル化する中で日本人はどのようにサバイバルすればよいのか。子ども×ICT教育×発達心理をキーワードに考えます。

リブート第10回「教育現場における『提示の工夫』 指導者の提示用タブレット・編~望月陽一郎先生のお話より~」

»

現役の先生に教育現場のICT活用について伺いました(2015/1/6初公開分をリブート)

リブートシリーズ・・・2013年から不定期で掲載してきた「教育・授業・ICTに関するインタビューシリーズ」を、今に合わせて「再構成」していく企画です。


中学校で教諭をされておられる望月陽一郎 先生に教育とICTを学校現場でどのように実践されてきたのか、お話を伺っています。

【望月陽一郎先生・略歴】
大分市中学校教諭(理科担当)。大分県教育センター情報教育推進担当主事、指導主事、大分県主幹等を経て、現職。


【前回の概要】

前回(リブート第9回目)は、望月先生が日本マイクロソフト社から「Surface RT(一世代目)」をお借りして授業を行ったとき(2015年当時)に気がついたこと、工夫されたことをメインにお話を伺いました。

●望月先生が「Surface RT」を授業で使った際に気になった点

  1. オフィスがプリインストールされているメリット
  2. スタート画面の使い方
  3. アプリの数
  4. 無線投影(ミラーリング)

関連記事
リブート第9回「教育現場におけるWindowsタブレット活用事例 ~望月陽一郎先生のお話より~

今回は「提示の工夫」という観点から、授業でタブレット端末を使用する際に気をつけたい点をお聞きしました。

○提示の工夫 実践例について

-私が学校に勤務していた際、講師の間で「あの先生はうまいよね」と、教え方のうまさが話題になる事がありました。教え方がうまい」と同業者から評価される講師に共通していたのは「教材の提示がうまい」という点でした。

タブレットで教材を見せる際に、どんな教材を見せたらよいか、どのように見せたらよいか。次からの質問について教えていただけますか?

①なぜ「指導者の提示用タブレット」からなのですか。

望月先生:まず、タブレットを学校に導入する際は、「指導者の提示用タブレット」として入れるところから始まります。

その理由は、「学習者用タブレット」を導入する前に、指導者が十分タブレットを活用できていなければならないからです。

現状は、教員1人1台校務用パソコンの整備は進んでいるものの、授業用パソコン・タブレット(指導者用)の導入がなかなか進んでいません。

-なるほど。校務用パソコンは配備されているのに、授業用の端末はまだいきわたっていないのですね。それは予算の問題でしょうか?先生方が自分の端末を持ち込むのはセキュリティなどの問題があるでしょうし。

望月先生:そうですね。そして、提示を考える際にタブレットとともに大切なポイントが、「大型テレビ」あるいは「プロジェクター」が常設されていることです。

②なぜ「大型テレビ」あるいは「プロジェクター」の常設なのですか。

望月先生:学校特に中学校では教科担任制のため、授業をする先生方が次々クラスを移動していきます。その時それらが常設されていると、タブレットを接続するだけで使えます。このことはとても大きなことなのです。

-担任の先生が常駐する小学校と中学校の大きな違いですね。

望月先生:そうです。環境設定も小学校と中学校では別に考える必要があります。

③提示用はタブレットがよいのですか。

-授業用ノートパソコンという選択肢もあると思うのですが、タブレットの方がよいと判断されたのは何か理由があるのでしょうか?

望月先生:ノートパソコンよりタブレットは起動が速いという理由もあります。私はiPadを主に使っていますが(Surface2を使うときもあるので)、

  • カメラ機能を使うことで実物投影機として
  • 書き込みアプリで電子黒板として

使っています。

タブレット1台で、実物投影機+パソコン+電子黒板の役割を果たすとしたら、かなり安価ですね。

-そうですよね。電子黒板の価格を調べたら、16万円から35万円くらいの製品が見つかりました。実物投影機は、2万円代後半から20万円くらいまで幅が広かったです。フルハイビジョンの投影機だと40万円以上するようですから、「タブレット1台で、実物投影機+パソコン+電子黒板になる」というのはかなり現実的な考え方ですね。

望月先生:同じ予算ならおすすめですね。

④どんな提示教材を使っているのですか。

-iPadを使ってどんなものを見せているのか、教えていただけますか?

望月先生:特別なデジタル教材は使っていませんし、作っていないのです。

このあたりがポイントですね。ICTを活用するのに時間がかかるという誤解を受けやすいのは「デジタル教材の作成は大変」というところから来ていることが多いです。

私は、

  • 教科書、ワークシートの拡大(そのまま撮影したりした画像)

を主に使っています。以前紹介したEpson iProjection (2017年現在はPanasonic Wireless PJを使用)というアプリを使えば、その場で撮影して拡大・書き込みできるからです。

※Epson iProjection  http://www.epson.jp/products/bizprojector/ipj/

※Panasonic Wireless PJ https://panasonic.biz/cns/projector/download/application/ios/wirelesspj/

・・・Epson iProjection、Panasonic Wireless PJ は、プロジェクターを選ばず単体で動作することもできるアプリです。

なぜ教科書の画像を使うかというと、子どもたちにはタブレットやデジタル教科書がないわけですから、特別な教材を準備するよりも、子どもたちの手元にあるものを大きく映して教材として使う方が理解の助けになるからです。

授業の感想(リフレクションシート)にもよくこのことを書いてくれますね。

-なるほど。確かに「子どもたちの手元にあるものを大きく映して教材として使う」のが、子どもたちにとってよいですね。デジタル教科書やアプリ、動画などを映す方がよいのかと思っていました。

望月先生:動画は教科書にはないものですし、単独で映して見せた方がよいと思います。

⑤提示の際にOSの違いは問題になるのですか。

-私はタブレット端末の違いに目が行っていました。しかし、先生は

「よくたずねられることの1つが、タブレットのOSです。私は、どれでもあまり変わりがないと答えています。なぜなら私が使ってきた例でいうと、OSに特化したり、アプリに依存したりすることが少ないからです。カメラ機能とかたいていついていますよね」

とおっしゃっていましたね。

望月先生:そうですね。今もiPadを使ったりSurfaceやNECタブレットを併用して使ったりしています(2015年当時)が、そういう基本機能は変わりませんから。

-なるべくOSに特化したり、アプリに依存したりしないで授業できる方が汎用性は高いですよね。

今回は「指導者の提示用タブレット」のお話を伺いましたが、生徒がグループでタブレットを使うような場合では、また様子が違ってくるのではないかと思います。次回以降のインタビューで教えていただけますか?

望月先生:今後(2015年当時)は、Microsoft Surface とNECタブレットを使って新しい活用を考えていますので、それを含めてお話できるとよいですね。

おわりに

今回は望月先生が中学校の授業で実際に行っている、タブレットを利用した掲示の工夫についてお話を伺いました。

今回のインタビューの最後に「Microsoft Surface とNECタブレットを使って新しい活用を考えています」というお話が出ましたので、次回以降にそちらのお話もお伺いしたいと考えています。

グループでタブレットを使う場合など、様々なシチュエーションでタブレットが活用されることと思います。皆さまのニーズに合った「掲示の工夫」を引き続き、ご質問していければと思いました。望月先生、今回も興味深いお話をありがとうございました。

【片岡より】

今年は残り 2週間となりました。本年も「教育ICT研究室」のブログをお読みくださり、大変ありがとうございました。

読者の皆様は年末に向けてお忙しいことと思います。寒くなりましたので、くれぐれもご自愛下さいね。次回は2018年の元旦に公開予定です。来年もよろしくお願いいたします。

>>リブート第11回「教育現場における「タブレットのグループ活用」編 ~望月陽一郎先生のお話より~」(1月1日公開予定)に続く

Reboot Produced by Yoichiro Mochizuki

参考記事

先導先生 - DiTT(デジタル教科書教材協議会)
※望月先生の45の取組みが紹介されています。

Comment(0)

コメント

コメントを投稿する