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グローバル化する中で日本人はどのようにサバイバルすればよいのか。子ども×ICT教育×発達心理をキーワードに考えます。

【4週連続短期集中シリーズ 2】ChatGPT等、生成AIの学校における活用について(前編)

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情報教育に関するさまざまな取り組みをされている望月陽一郎 先生に、2013年から教育現場の状況や先生のお考えについてインタビュー形式で伺っています。今回は「ChatGPT等、生成AIを用いた教育は現時点(2023年夏)でどのようになっているのか」についてお聞きします。

【望月先生 プロフィール】

大分県立芸術文化短期大学非常勤講師。Forbes Japan電子版オフィシャルコラムニスト。公立中学校理科教諭(理科)・大分県教育センター指導主事(情報教育)などを経験されています。自作の「micro:bit『サンプルプログラミング集』」などをサイトにて公開されています。

望月陽一郎 個人サイト:http://mochizuki.net/

●ChatGPT等、生成AIを用いた教育について

―今回、望月先生が最近行った「学校における生成AIに関するアンケート」の結果を見せていただきました。とても興味深い結果だったと思います。

―先日観たYouTubeの動画で、「小説の感想文をChatGPTに300字で小学生が書くように書いてほしい」とコマンドで入力したら、それらしい感想文が出来上がったという例が紹介されていました。

YouTubeのおすすめ動画だったため、後でどなたがアップされた動画なのかわからなくなりましたので、「chatgpt 感想文 書き方」で検索してみましたら、同様の記事がたくさん見つかり、驚きました。感想文等の文章を書く際、AIをどこまで使用してよいのかわからなくなりました。

参考記事:子どもが「ChatGPT」で夏休みの宿題をやろうとしたら、使わせるか?使用禁止か?親としての「正解」 現代ビジネス
https://gendai.media/articles/-/112899?page=1&imp=0

―この髙橋暁子氏の記事では、「DBER Centerの「大学生のChatGPT利用状況と能力形成への影響に関する調査結果」(2023年6月)によると、大学の授業科目のレポート作成のためにChatGPTを使ったことがある大学生は、全体の14%だった。女子学生では10.3%だが、男子学生では22.7%と何と5人に1人以上が利用している。」と書かれています。

しかも、「利用するだけなら問題はないかもしれないが、ChatGPT作成の文章には誤りが含まれる可能性がある。無料版は2021年9月までの情報から学習しており最新情報には対応していない上、間違った情報をそれらしく述べてくることが多いため、最終的な確認は人がしなければならないものだ。」という指摘もされています。

関連記事:大学生のChatGPT利用状況と能力形成への影響に関する調査結果(速報)
https://dber.jp/chatgptsurvey/

―先生方が子供たちの感想文等を生成AIで作ったものか見抜く必要性や、どこまで使用して良いのか気をつける必要があるように思うのですが、望月先生はどのようにお考えですか。

望月先生:まず、ChatGPTについては、使用できる年齢制限があります。18歳以上ですね。13歳以上18歳未満については保護者の同意のもと使用できる、となっているので、前述の「ChatGPTに小学生が・・・」は、規約違反ですね。

―たしかにそうですね。

望月先生:同様の生成AIである、Google Bardは使用できるのが18歳以上、となっていますから、これも小学生では使用できません。ただ一つ、Microsoft BingAIは、18歳未満は保護者の同意が必要とあるだけなので、小学生でも利用できそうです。保護者の管理下で生成AIを使う限りは、感想文で使ってよいかどうか保護者が判断することになると思います。

―ChatGPTの年齢制限は知っていたのですが、そのほかも同じような年齢なのだろうと思い込んでいたので、教えていただいてよかったです。

―望月先生が作成した「学校における生成AIの活用に関するアンケート(集計結果)」を見せていただきましたが、「授業で生成AIを使っているか」という質問に対して、

  • 「先生・子どもたち共に授業で使っている」・・・ 5.0%
  • 「先生のみが授業で使っている」     ・・・ 7.5%
  • 「使っていない」            ・・・87.5%

という回答になっています。

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「授業で生成AIを使っているか」(2023年7月)

生成AIを何らかの形で授業に取り込んでいると回答された先生方はまだ1割ちょっとくらいですが、この結果について、望月先生はどうお考えでしょうか。

望月先生全国の100人以上の先生方が回答を寄せてくれました。比較的ICT活用に積極的な先生方が回答していただいていると思いますが、その中でも授業で活用しているという先生はわずかです。そう考えると全体ではまだほとんど使われていないのではないかと考えられますね。

―たしかにそうですね。また、アンケートの項目で「授業で使っている生成AI」については、ChatGPTが一番使われていて、次にMicrosoft bing AI、Google Bard、Perplexity AIとなっていますね。

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「授業で使っている生成AI」(2023年7月)

ChatGPTがMicrosoft bing AIの2倍となっていることや先ほどお話が出たようにChatGPTの年齢制限が「保護者承認の上13歳から」となっていることを踏まえると、生成AIを現在使っているのは中学校以降ではないかと思いました。適切に使用するためには、小学校での取り組みがポイントになりそうだと考えました。

望月先生:私も、年齢制限を考えると、小学校より中学校・高校などの授業で使われている例が多いと思います。ただ、先生だけが使っているという回答があるので、小学校でも先生だけが使うという活用は可能ですね。

―「夏休みの宿題での生成AIのルールを子どもたちに示したか」については、

  • 示した   ・・・22.5%
  • 示していない・・・77.5%

となっています。

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「夏休みの宿題での生成AIのルールを子どもたちに示したか」(2023年7月)

校種別でみると、小学校より中学校のほうが「示した」という割合が多いようですね。

望月先生:文部科学省のガイドラインが7月に暫定的なものとして示されています。
https://www.mext.go.jp/content/20230718-mtx_syoto02-000031167_011.pdf

夏休みに間に合うようにということだと思います。しかし、実際に学校で子供たちに対して生成AIの使い方について、思ったよりも示されていなかったというのが、私の感想です。

なぜあまり示されなかったのかについては、先生方の記述回答から見ていく必要がありますね。

―ではそこについては、後編でお聞きしたいと思います。
 
―お忙しい中、生成AIの調査結果等についてお話ししてくださいました望月陽一郎 先生、この記事を読んでくださった皆様、大変ありがとうございました。次回後編もお読みください。

>>「【4週連続短期集中シリーズ 3】ChatGPT等、生成AIの学校における活用について(後編)」につづく(2023年9月4日 公開予定)

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