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教材を作る際、著作権についてどのようなことに注意しているか ~望月陽一郎先生のお話より~

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現役の先生に教育現場のICT活用について伺いました

大分県の中学校で教諭をされていらっしゃる望月陽一郎先生に、教育におけるICTを学校現場でどのように実践されてきたのか、お話を伺っています。

【望月陽一郎 先生・略歴】

大分市 中学校教諭(理科担当)。大分県教育センター 情報教育推進担当主事、指導主事、大分県 主幹等を経て、現職。
https://www.facebook.com/yoichiro.mochizuki/aboutを参照。

前回は教室でICT機器を活用する時のポイント」など、望月先生が実践されている「学校の授業でICT機器を活用する時の工夫」などについて伺いました。

参考:教育におけるICT活用事例:「iPad通信」と「ミニICT講座」について ~望月陽一郎先生のお話より~

今までに

  • 望月先生の学校におけるICT活用実例(1980年代から2000年代まで)
  • 授業でのICT活用のポイント
  • 学校でICT機器を活用する時のポイント
  • iPad通信とミニICT講座について

等のお話をしていただきました。

今回は「教材を作る際、著作権についてどのようなことに注意しているか」について伺います。

学校現場と著作権法

お忙しい中、お時間を作っていただき、ありがとうございます。今回は「教材を作る際、著作権についてどのようなことに注意しているか」について質問をさせていただきたいです。

望月先生 まずこの資料はご存じでしょうか?

▲学校その他の教育機関における著作物の複製に関する著作権法第35条ガイドライン 平成16年3月
http://jbpa.or.jp/pdf/guideline/act_article35_guideline.pdf

-文化庁のウェブサイトで著作権について調べましたが、「学校その他の教育機関における著作物の複製に関する 著作権法第35 条ガイドライン 」という資料があることを初めて知りました。

望月先生 この資料は、平成16年のものです。もう10年近く各県の情報教育研修でも使われてきているのでよく知られた資料だと思います。

-なるほど。私が専門学校で教えていた時は、この資料の存在を知りませんでした。教育関係者はみなさんご存知な資料なのでしょうね。

望月先生 情報教育に関係している人にとってはポピュラーな資料ですが、一般の先生方はどうでしょう、知らない先生もいるかな。

-私の場合、他の先生に相談しながら著作権違反ではないか、いつも気をつけていました。「引用・転載はどこまでセーフなのか」など、グレーではないかと不安を感じながら他の先生に相談していました。「先生方は著作権をどのようにクリアしているのか知りたい」と思っていました。

望月先生 著作権法の第35条には、「学校における例外規定」が書かれています。学校での著作物の利用について、一般より許諾を毎回得なくてよい範囲が広くなっています。

  • 授業の過程における使用
  • 教育を担任する者と授業を受ける者

など、条件も書かれています。

-わかりやすい解説をありがとうございます。

望月先生 ガイドラインは、著作権法第35条の解説資料ですね。

-授業の時は第35条で利用範囲を広くみてもらえるようですが、放課後の補習だと適用されないのでしょうか?資料だと、「以下の場合は、「授業」にはあたらない。 ×学校の教育計画に基づかない自主的な活動(例:サークル・同好会、研究会) 」と書かれていますが。

望月先生 逆に○を見るとよいかと。学校の教育課程に基づく活動ということですね。

・・・○ クラスでの授業、総合学習、特別教育活動である学校行事(運動会等)、ゼミ、

実験・実習・実技(遠隔授業を含む)、出席や単位取得が必要なクラブ活動

○ 部活動、林間学校、生徒指導、進路指導など学校の教育計画に基づいて行われる課外指導

-なるほど、補習は教育課程に基づく活動になるのでしょうか?

望月先生 個別指導であればどうでしょう?

-集団ならばセーフで、個別指導だと?でしょうか?

望月先生 放課後に、個別に指導することが、教育課程に基づく活動にあてはまれるか?ということですね。授業にあたるか、ですから。

-なるほど。そうですね。「授業であるか」で考えると、微妙に思います。「個別に補習する時は第35条の適用外かもと思って、著作権に注意することが必要」ということになりますでしょうか。そうすると、最近話題で出てくるオンライン教材の配信などもちょっと心配ですね。

望月先生 ガイドラインを見ると、「授業をあらかじめ録画しておき後日配信すること」も×となっていますね。その授業の中で(リアルタイム)が条件のようです。著作物等をホームページ等に掲載も×となっていますね。教材は授業の中で使うものだから、ということでしょう。

-言われてみれば、教材は確かに「授業の中で使うもの」ですね。そうだとすると、最近話題になっている反転授業は、第35条の適用外になってしまうのか考えてしまいますね。

望月先生 ガイドラインを読んで考えると、著作物を利用する場合注意が必要かもしれませんね。

-先生方が反転授業を行う際、著作権に気をつけながらでは負担が大きくなるかもしれませんね。

望月先生 授業を受けるのが実際の生徒だけであれば、登録された学生といえます。録画したものを配信するとリアルタイムではないので、授業とは言えないかもしれません。

でも考えればわかりますが、他者の著作物を無断で使用しなければよいことなのです。

また許可をもらえばよいのです。そうすれば、公開してもよいし、「授業」でなくてもよいのですから。

-なるほど!逆転の考え方ですね。見方を変えれば、確かに問題ありませんね。

望月先生 私もデジタル地質教材作りをしたりしていますが、実際に自分で足を運び、資料として撮影したものを使って教材作りをしています。

法律の遵守は当たり前のことですから、

  • 必要なら許諾をとる。
  • できるだけオリジナルの素材を使って教材を作る。

という、ごく基本的な対応を、私はしています。

-確かにそれはものすごく大事ですよね。私も著作権者に問い合わせしたり、有料のものを買ったり、自分で作ったりして、法律を守るように気をつけています。

望月先生 一緒ですね。

おわりに

-教材作りで気をつけていることについて今回もわかりやすくまとめていただき、ありがとうございました。次回は「音楽や地図など、実際に許諾をとってみた例」について、望月先生にお話を伺いたいと思っています。

今回も非常におもしろい内容でした。大変ありがとうございました。

>>「教材やコンテンツを制作する際、実際に許諾を取った例 ~望月陽一郎先生のお話より~」に続く

参考記事

先導先生 - DiTT(デジタル教科書教材協議会)
※望月先生の32の取組みが紹介されています。

まとめ記事

今までに取材した「授業でのICT活用のポイント」「学校でICT機器を活用する時のポイント」「教材作成時に気をつけたい著作権の問題」などについては、以下の記事にポイントをまとめました。ぜひご参考にされてくださいね。

※インタビューの第1回目から11回目をまとめています。

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