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日本で"使える"オープンソースの業務システムをご紹介!

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前回は業務システムの選定の中でオープンソースも選択肢としてアリというお話をさせていただきました。

今回はどのようなオープンソースがあるのかご紹介したいと思います。

掲載の基準は以下の通りです。

  • 日本語の表示、入力に不便がないこと【最も重要】
  • この半年以内にアップデートあり
  • 保守契約またはクラウド等のサービス利用が可能
    (社内に技術者いなくてもOK)

なるべく導入のハードルが低く、利用者の抵抗感も減らせるようなものを選びました。

グループウェア

1. Aipo(アイポ)

http://www.aipo.com/

スケジューラー、メッセージ、出退勤、ワークフローなどシンプルながらに使える機能が取り揃っています。他のオープンソースのグループウェアも見ましたが、スマホ対応など実運用を考えてもAipoが最も実用的に感じました。

顧客管理(CRM)

2. F-RevoCRM

https://f-revocrm.jp/

顧客、案件、顧客担当者(名刺)、見込み客(リード)、プロジェクト、問い合わせ管理など、CRMと呼ばれる基本的な部分が全て入っています。

また、手前味噌になりますが、日本でオープンソースのCRMを選択するならばF-RevoCRMです。VtigerCRMベースに日本向けにカスタマイズを施していますので、VtigerCRMよりも日本語化が進んでいることや日報等の日本の慣習に基づいた機能などが追加されています。

※SugarCRM

https://www.sugarcrm.com/jp/micro

こちらも非常に多機能なCRMです。また、オープンソースのCRMといえば、SugarCRMを思い浮かべる人も多いと思います。しかし、残念ながら最近はコミュニティよりもサービスの方を優先しているようで、コミュニティ版のバージョンが世代遅れのままになっています。そのため、導入するならばオープンソースとしての恩恵は期待しないほうが良いでしょう。

SugarCRMはお勧めではありませんが、知名度が高いため掲載しました。

# しかし、営業支援(SFA)のオープンソースは見当たりませんね。

文章管理

3. Alfresco(アルフレスコ)

https://www.alfresco.com/jp

ファイルの世代管理、プレビュー、全文検索など一通りの機能が揃っています。また、APIも充実していることやJavaベース、Apache Solrが裏側で動いているなど、かなり"堅い"作りをしています。商用パッケージと比べても見劣りしません。

ただし、文書管理のシステムは共通してハードウェアリソースを大量に消費しやすいことや、障害時にJavaやApache Solrなどをちゃんと理解していて管理できる人がいないと手も足も出なくなるため、Alfresco oneが実質的な選択肢になるでしょう。

ERP

4. iDempiereアイデンピエレ

http://www.compiere-distribution-lab.net/idempiere-lab/

国際会計基準と日本の会計基準の両方の入力ができること、複数国の税金に対する対応など複数国などで使うことが考慮されたERPです。また、非常に高機能でCRMとしての機能もあります。

しかし、ERPは基幹となるため慎重にならざるを得ない部分が多いため、iDempiereがフィットする会社は少ないかもしれません。

SNS(社内SNS、会員向けSNSなど)

5. OpenPNE

http://www.openpne.jp/

社内でのコミュニケーションの活発化、会員サイト内でのコミュニティの作成などの下地として使うには非常に良いオープンソースです。

ただし、注意していただきたいのは目的をはっきりと持って使うことです。

例えば「コミュニケーションの活発化」など非常に行動に移しづらい目的のままで入れてしまうとすぐに廃れてしまいます。そのため、外部のツールと連携して情報が自動的に集約されるなど「ここを見たら最新情報が手に取るようにわかる」などの目的や仕掛けが必要でしょう。

プロジェクト管理

6. Redmine

http://redmine.jp/

Redmineを今更載せるかどうか悩みましたが、安定感でいえば一番だと思います。

しかし、プロジェクト管理ツールは移り変わりが激しいため、都度自分たちに合ったものを探すのが良いでしょう。

# 最近の流行りは看板式のようですね。実は私も似た様なものを作ろうとしていました。

ECサイト

7. EC-Cube

http://www.ec-cube.net/

豊富な利用実績や様々な決済サービスと繋げることができるなど、ECサイトを作る際にはEC-Cubeの名前が必ず出てきていると思います。よほど特殊な事情がない限り、ECサイトはEC-Cubeで作っておけば間違いはないでしょう。

残念ながら基準外、しかし惜しかったので掲載

8. Jaspersoft (Jasper Reports)

http://community.jaspersoft.com/

オープンソースのBIツールです。印刷を考慮したレポート作成やJasper Reports Serverによるレポート共有などBIツールとしての基本を抑えています。

しかし、残念だったのが、最新バージョンで日本語化が上手くいきませんでした。(2015年11月ぐらい)

また、Jasper Reports Serverでのドリルダウン操作などこの辺りが有料プランでなければ使えないようです。そのため、コストが掛かるものの、Microsot SQL Serverで作ったほうが良さそうに感じてしまいました。

BIツールは他の多種多様なツールとのコラボレーションがやりやすく、それぞれの価値を押し上げるので非常に残念でした。

9. mautic

https://www.mautic.org/

マーケティングオートメーション(MA)のツールです。残念ながら日本語に対応していませんし、まだちゃんと評価できていません。

しかし、UIを触った感触からするとキャンペーン(セミナーなど)を軸に申込者、来場者などをリスト化してメール配信などできるようです。

また、ランディングページの作成や各種お申し込みフォーム等も作成できるようなので、入り口からリードナーチャリングをする部分まで単純な仕組みは完結しそうです。

試してみて良さそうならば、日本語化ファイルを作って配布しようかと思っています。

2016/4/7 訂正

標準で日本語対応していました。言語リストの取得エラーにより英語以外の選択肢が出てこなかったため勘違いしました。

まずはお試しください

オープンソースの業務システムは使えないイメージの方も多いと思います。

それは一部では正しいことです。ほとんどのオープンソースは機能や見た目で劣ります。また、運営会社に対する信用などで継続性に対して不安に思う気持ちもあると思います。

しかし、運営会社のほとんどは5年以上存続している会社ばかりです。すぐに倒産するわけでもありませんし、機能や見た目も遅れているだけで、極端に不安を感じる必要は全くありません。

また、導入の目的と照らし合わせた時にオープンソースのシステムがフィットすれば安価に済ませることができます。しかも対応できる技術者が社内にいれば、ソフトウェア利用費ゼロ、外注コストもゼロです。

とは言っても、ケースバイケースに変わりありません。次回はQ(品質)C(コスト)D(納期)の観点で具体的にパッケージ採用、スクラッチ開発、オープンソース採用でどのような差があるかお届けします。

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