高校卒業直後にアメリカの全寮制高校に飛びこみ、文化、言語、価値観、人間関係、そして勉強で七転八倒しつつ適応していった、5年間の留学生活から学んだレッスンを、具体的エピソードを交えて紹介。

食べ放題のお作法

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無事に大学生になり、いちばん変わったのが自由時間です。監獄状態だった全寮制高校とは異なり、基本は自由行動(つまり自己責任)です。いつ何をしようとも、誰にも文句を言われません。

車で下山して買い物をしたり(大学は山のてっぺんにあったので)、外食する機会もちょいちょい増えてきました。

とはいえお金に余裕はないし、バイトの時間もない。必然的に学生は"食べ放題"を狙うことになることになるわけです。


代表的な食べ放題といえば、ピザ。
で、ピザといえばピザハットです。

よくお世話になったのが3.99ドルのランチビュッフェでして、少ない所持金の中でたまの外食をするために、こればかり狙い撃ちしていました。大学中の生徒がここのお世話になっていたであろう最寄りのピザハットでした。

そんなわけで、今回は「食べ放題のお作法」を書いてみます。


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1 朝食を抜く
食べ放題は、店と学生の真剣勝負。勝つか負けるか。味は二の次です。朝食は抜き、午前中は精神統一をし、身も心も清めて昼の戦いに臨みます。これは基本中の基本。


2 単独行動ではなく、チーム編成で挑む
大人数で行けば量を食べられるわけではないのですが、食べ放題はひとりより、仲間と行くほうが楽しく、士気もあがります。たいてい、貧乏留学生ら7ー8人で突撃していました。


3 別料金の飲み物をオーダーする
真剣勝負とはいえ、守るべき礼儀もあります。「別料金の飲み物を注文する」がそれです。水でけちることも可能ですが、我々はかならずドリンクをオーダーしました。逆にいえば、「ドリンクは注文しますが、ピザは手を抜きませんよ。がっつりいきますよ」という宣戦布告でもありました。


4 ただし、氷抜きにしてもらうことを忘れない
ドリンクは注意が必要でして、ふつうに頼むと氷だらけのコーラがやってくるので、油断できません(飲食店の常套手段です)。そこで、「氷抜き」で頼み、氷だけ別にコップに入れてもってきてもらうのを忘れません(日本では断られるか、露骨にいやな顔をされます)。恥知らずな学生でした。。


5 食べる枚数の目標設定を心の中でしておく
食べ放題の心理として、「元が取れたかどうか」が必ずあります。元を取ったと思えればリピートするし、そうでなければ二度と来ません。「18ピース食べたから、Mサイズ2枚とちょっと食べた(勝った!)」という恥ずかしい脳内計算をします。


6 とったものは完食する
皿に取ったらすべてたいらげることは、食べ放題の掟。残すことは重大なマナー違反ですし、お店の人の心証を悪くさせてしまいます。そもそも、食べ物を粗末にしてはいけませんしね。


7 ほしいピザがないときは、気長に待つ
ソーセージ、ペペロニ(サラミ)といった定番は人気ですぐ無くなります。そういうときは気長に待ちつつ、売れ残ってやや冷めた不人気トッピングのピザも食べましょう。好きなものしか食べない行為は、美しくありません。


8 アツアツの出来たてが来ても、独り占めしない
待ちに待ったお気に入りのピザがやってきても、一人で3ピースも4ピースもとってはいけません。必ず1ピースにして、バランスよく食べ分けましょう。お店で共に戦う戦友(お客さん)のためにも、思いやりの心を持つこと。



なぜこんなに礼儀だのマナーだのにこだわっていたかというと、我々が圧倒的に勝利してしまって、ピザハット側に利益がないと判断されたら、食べ放題プランがなくなってしまうからです。

損はしたくない、だからといって、店が悲鳴を上げるようなえげつない食い散らかし方は巡り巡って自分の首をしめることになることを、我々生徒は恐れていました。

近所にひとつしかないピザハットが食べ放題から撤退してしまうことは、どうしても避けたかったのです。食べ放題とは、持ちつ持たれつの関係なのです。(たぶん)


つづく

スキナヒト製作所
中山順司


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