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自分の未来を決めてしまわない生き方が大切な時代

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いま私たちはVUCAの時代を生きている

いま、私たちは、「VUCA(ブーカ)」の時代を生きています。Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)という4つのキーワードの頭文字から取った言葉で、コロナ禍やウクライナ戦争によって、我々は身をもってこのVUCAを体験したわけです。

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そんなVUCAの時代をもたらしたのは、情報通信技術の発達です。あらゆる情報が、瞬時にやり取りされるようになり、私たちの捉える社会の複雑性が増したことが背景にあります。インターネットは、伝達される情報のスピードを加速し、そのボリュームを爆発的に増やしました。さらに、それらはコンピューターと融合して、新しい社会や経済の基盤を生みだしました。そんなサイバー・スペースは、現実世界と一体になって、社会や経済の変化を加速し、社会の複雑性を高めています。

何が起こるか分からないし、起こってからの変化も早く、どう対処すればいいかを判断するにも、判断基準や関連する情報が膨大にあり、しかもそれらが高速に入れ替わり錯綜し、容易なことではありません。

ならば、時々刻々の変化を直ちに捉え、現時点での最適を選択し、変化に合わせて改善を高速に繰り返すしかありません。このようなスピードを手に入れることなくして、いまの時代を生き抜くことはできません。

時代が求める価値観とテクノロジー

「アイデアが湧いたら、直ぐにやってみる。そして、その行動結果から議論を展開し、また新たなやり方を直ぐに試してみる。」

VUCAに対処し、現実的な解を見つけるためには、こんな圧倒的なスピードが必要です。それには、次の3つの理由があります。

  • 気がついたなら、直ちに行動しなければ、対応が遅れてしまい、チャンスを逃してしまうから。
  • 仮に間違ったとしても即座にやり直しが効き、大きな痛手を被ることを回避できるから。
  • スピードを追求すれば物事をシンプルに捉え、本質のみに集中しなければならず、結果として、的確な課題解決ができるから。

ITは、この価値観を実現する手段として、進化を加速しています。アジャイル開発やDevOps、クラウドやコンテナ、マイクロサービスやゼロトラスト・ネットワークなど、いま話題に上るキーワードは、まさにいまの時代の価値観を体現する手段です。

また、デジタル・ネイティプなベンチャーやGoogleAmazonなどのビッグテック(Big Tech)と呼ばれる企業は、この価値観の体現者として、最先端のITを使いこなし、圧倒的なスピードを武器に、競争力を生みだしています。デジタル・トランスフォーメーション(DX)とは、そんな彼らに立ち向かうために、この価値観を企業活動の基盤に据えるための取り組みと言えるでしょう。

大切なことは自分の未来を決めてしまわないこと

「社会環境の変化が緩やかで中長期的な予測が可能」な時代の常識は、もはや通用しません。このような時代を生き抜くには、自分の「個人的資産」と「社会的資産」を積み上げる努力を怠らないことです。

「個人的資産」とは、自分が労働市場で高く評価されるためのスキルや知識のことです。ITに関わる仕事であれば、いまのテクノロジーの常識や業務を理解し整理できる能力、提案できる能力、システムのアーキテクチャーを設計できる能力、コードを駆使できる能力などです。もちろん、語学力も個人的資産として不可欠なものと言えるでしょう。

「社会的資産」とは、「人脈」のことです。ただ、「人脈」とは、多くの人を知っていることではありません。多くの人に「知られる」ことです。これなら、あの人に聞けばいい、これならあの人が適任だと、名指しで世間に知られる存在になることが、「人脈を拡げる」ことです。

そんな、名指しで知られる人たちに共通するのは、社外に沢山の人のつながりを持っていること、アウトプットの頻度が高くその量も多いこと、直接の仕事以外にも幅広く勉強していること、などでしょう。

そんなことは、簡単なことじゃないというひともいるでしょう。だからこそ、それができる人が、名指しで呼ばれる存在になるのです。

何よりも大切なことは、自分の未来を決めてしまわないことです。目標や夢、理想を持つことをダメだと言うのではありません。思いこみを捨てて、冷静に考え直す心を持ち続けよと言うことです。

先輩たちの助言は、往々にして時代遅れです。それは、過去の成功体験に基づいているからです。社内のあなたに対する評価も同様に、過去の成功が基準になっているのが一般的です。それらを、敬意を持って受け止めることは大人の礼儀ではあっても、いまの時代にふさわしいかどうかは、自分で判断しなければなりません。

判断に迷ったら「面白そう」で選べ

人間には、「バイナリー・バイアス (二元バイアス) 」があります。複雑なものごとを2つのどちらかに分けることで単純化し、心の平静を保とうとする人間の基本的な傾向です。特に、若い人たちは、知識も社会経験も乏しく、世の中が複雑で、多様であることをうまく理解できません。そのため、黒か白かの両極端を求め、心の平安を保とうとします。

それが悪いのではありません。若いとは、そういうことなのです。だから、そういう自分の浅はかさを謙虚に受け止め、自身の考えを疑問視し、好奇心のアンテナを張って新しい情報を集めることです。そして、例え、自信を持って決めたことでも、「考え直すこと」を怠らないことです。

VUCAとは、正解が分からない時代であるとも言えます。例えこうだと決めたことでも、それがいつまでも通用することはありません。思い悩み、考え抜くことです。そのためにも、「個人的資産」と「社会的資産」を積み上げる努力が必要です。

判断に迷うならば、「面白そう」で選べばいいのです。「こちらの方が、待遇が良くなりそうだ」とか、「仕事に役立ちそうだ」は、やめた方がいいでしょう。いまはそうでも、あっという間に変わってしまうからです。それよりも、「面白そう」で判断し、寝食忘れてのめり込むことこそが、自分の才能を伸ばし、時代の感性を磨くことになるはずです。

もはやVUCAを逃れることはできません。ならばそんな時代にふさわしい生き方をしてはどうでしょう。

【募集開始】次期・ITソリューション塾・第44

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次期・ITソリューション塾・第442023104日[水]開講)の募集を始めました。

ChatGPTをはじめとした生成AIの登場により、1年も経たずにで、IT界隈の常識が一気に塗り替えられました。インターネットやスマートフォンの登場により、私たちの日常が大きく変わってしまったことに匹敵する、大きな変化の波が押し寄せています。ブロックチェーンやWeb3、メタバースといったテクノロジーと相まって、いま社会は大きな転換点を迎えています。

ITに関わる仕事をしているならば、このような変化の本質を正しく理解し、自分たちのビジネスに、あるいは、お客様の事業活動に、どのように使っていけばいいのかを語れなくてはなりません。

ITソリューション塾は、そんなITの最新トレンドを体系的に分かりやすくお伝えすることに留まらず、その背景や本質、ビジネスとの関係をわかりやすく解説し、どのように実践につなげればいいのかを考えます。

  • SI事業者/ITベンダー企業にお勤めの皆さん
  • ユーザー企業でIT活用やデジタル戦略に関わる皆さん
  • デジタルを武器に事業の改革や新規開発に取り組もうとされている皆さん
  • IT業界以外から、SI事業者/ITベンダー企業に転職された皆さん
  • デジタル人材/DX人材の育成に関わられる皆さん

以上のような皆さんには、きっとお役に立つはずです。

詳しくはこちらをご覧下さい。

  • 期間:2023年10月4日(水)〜最終回12月13日(水) 全10回+特別補講
  • 時間:毎週(水曜日)18:30-20:30 の2時間
  • 方法:オンライン(Zoom)
  • 費用:90,000円(税込み99,000円)
  • 内容:
    • デジタルがもたらす社会の変化とDXの本質
    • IT利用のあり方を変えるクラウド・コンピューティング
    • これからのビジネス基盤となるIoTと5G
    • 人間との新たな役割分担を模索するAI
    • おさえておきたい注目のテクノロジー
    • 変化に俊敏に対処するための開発と運用
    • アジャイルの実践とアジャイルワーク
    • クラウド/DevOps戦略の実践
    • 経営のためのセキュリティの基礎と本質
    • 総括・これからのITビジネス戦略
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【図解】コレ一枚でわかる最新ITトレンド 改装新訂4版

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2022年10月3日紙版発売
2022年9月30日電子版発売
斎藤昌義 著
A5判/384ページ
定価2,200円(本体2,000円+税10%)
ISBN 978-4-297-13054-1

目次

  • 第1章 コロナ禍が加速した社会の変化とITトレンド
  • 第2章 最新のITトレンドを理解するためのデジタルとITの基本
  • 第3章 ビジネスに変革を迫るデジタル・トランスフォーメーション
  • 第4章 DXを支えるITインフラストラクチャー
  • 第5章 コンピューターの使い方の新しい常識となったクラウド・コンピューティング
  • 第6章 デジタル前提の社会に適応するためのサイバー・セキュリティ
  • 第7章 あらゆるものごとやできごとをデータでつなぐIoTと5G
  • 第8章 複雑化する社会を理解し適応するためのAIとデータ・サイエンス
  • 第9章 圧倒的なスピードが求められる開発と運用
  • 第10章 いま注目しておきたいテクノロジー

神社の杜のワーキング・プレイス 8MATO

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八ヶ岳南麓・山梨県北杜市大泉町、標高1000mの広葉樹の森の中にコワーキングプレイスがオープンしました。WiFiや電源、文房具類など、働くための機材や備品、お茶やコーヒー、お茶菓子などを用意してお待ちしています。

8MATOのご紹介は、こちらをご覧下さい。

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