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【図解】コレ1枚でわかる作る技術と作らない技術

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ITビジネスに求められる技術が、「作る技術」から「作らない技術」へとシフトし始めています。

「作る技術」とは、「仕様書に定められた機能を実装することを目的に、プログラムを作る技術」です。「作らない技術」とは、「ビジネスの成果を達成することを目的に、既存のITサービスを駆使し、できるだけ作らずに短期間でITサービスを実現する技術」です。その目的は、次のようになります。

  • 作る技術を前提としたビジネス:工数を売る

組織力を駆使して、作る技術を持つエンジニアをできるだけ多く動員し、工数を最大化して、売上規模を拡大すること

  • 作らない技術を前提としたビジネス:技術力を売る

個人とチームの自律と自発を促し、作らない技術力を磨くための環境を整え、作らない技術力を持つエンジニアをお客様の事業の成果に見合う金額で提供して、高い利益率を継続的に確保すること

また、求められるエンジニアのスキル要件も違います。

  • 作る技術を前提としたエンジニア:

お客様からインタビューして、要件を定義し、WBSに従って進捗を管理するPMや仕様書に従ってコードを書くエンジニア

  • 作らない技術を前提としたエンジニア:

お客様と事業の目的とビジョンを共有し、ITサービスを提供するための障害を排除しお膳立てを整えるスクラムマスターと、既存のサービスや技術を自分たちで目利きし、最速最短でビジネスの成果に供するITサービスを実現するエンジニア

「まだ何とかなる」ことはない

システム開発で工数需要の源泉となっていたコード生成からビルドまでの一連のプロセスを自動化できるGitHub Copilot Workspaceのようなサービスの急速な性能向上と普及は、ソフトウェア開発の常識を根本的に変えてしまいました。

テクノロジーの進化は留まることはなく、スピードを加速しながら、その適用範囲は拡大し続けています。そして、それ以前の状態に戻ることはありません。そんな時代の変化を傍観していたら、あっという間に浦島太郎になってしまいます。これは、エンジニアだけの話しではありません。圧倒的なスピードで、自分のスキル・セットをアップデートし続けなければ、だれもが仕事を失ってしまいます。

「作らないための技術」を駆使して、できるだけ少ないコードでビジネス目的を達成する

内製チームは、そうやって、「技術的負債」を膨らませることなく、変化に即応できる圧倒的なスピードを手に入れようとしています。

ユーザー企業は、このような取り組みに、ITベンダーの支援を期待していますが、この期待になかなか応えてくれません。だから、ユーザー企業は、自分たちでやるしかなく、上記のような「作らないための技術」を持つ人材を自分たちで採用しなくてはならないのです。それでも足りないという企業は、既存社員を自分たちで教育し、リスキリングに務めています。

作らない技術が前提の「内製化支援」ビジネス

圧倒的なビジネス・スピードが必至のシステムに取り組む内製は、「作らないための技術」が前提にあってこそ、成り立ちます。そんなお客様の内製を圧倒的な技術力で支えることが、「内製化支援」です。

これは、組織力を駆使して工数を集めても、どうにもなりません。圧倒的な技術力を持った人材を、お客様の内製チームに送り込み、チームの一員として、一緒に仕事をし、技術面でお客様の模範であり教師となって、内製に必要とされるスキルをトランスファーすることです。これが、「共創」ビジネスです。

IT×ビジネスの勢いを考えると、ユーザー企業の内製化は、ますます拡大します。しかし、そのためのスキルを持った人材は、不足しています。だから、「内製化支援」すなわち「共創」ビジネスの需要は、拡大するはずです。

これをビジネス・チャンスととらえ、成長の原動力に変えるためには、「SIビジネスを再発明する」くらいの覚悟が必要です。「工数×人数」を売る過去の常識に囚われていては、お客様に、愛想を尽かされます。「技術力×人数」へと売り物を変えなくてはなりません。そのためには、自らもまた、時代の最先端を駆使して「共創」できる「スキルを磨き」自らの事業の再構築をすべきです。

「共創」への挑戦が切り拓く、新たな成長の機会

ITベンダーが「お客様のDXの実践に貢献します」と看板を掲げても、ここに紹介したような、技術やスキルを提供できなければ、誇大広告になってしまいます。ならば、世間の大騒ぎから一歩身を引き、ITベンダーの本来の役割である「技術力でお客様の事業を支える」ことに、真摯に目を向けるべきです。

そのためには、いま必要とされている「作らない技術」を磨き、「共創」できるようになることです。ただ、その機会を、既存の延長線上に見出すことはできません。積極的に新たな需要を生みだす挑戦が必要です。

【募集開始】次期・ITソリューション塾・第46期(2024年5月15日[水]開講)

ChatGPTをはじめとした生成AIの登場から、わずか1年半で、IT界隈の常識が一気に変わってしまいました。インターネットやスマートフォンの登場により、私たちの日常が大きく変わってしまったことに匹敵する、大きな変化です。いま社会は大きな転換点を迎えています。

システムの開発や運用、さらには様々なシスカテム案件が、「AI前提」となりつつあります。これに対処できるかどうかが、企業や個人を問わず、格差につながっていくことは、紛れもない現実です。ITベンダー/SI事業者の皆さんにとっては、これまでのビジネスの前提が失われ、既存の延長線上で事業を継続することは、難しくなるでしょう。また、ユーザー企業の皆さんにとっては、内製化を加速させるチャンスが到来したとも言えるでしょう。

ITに関わる仕事をしている人たちは、この変化の背景にあるテクノロジーの進化を正しく理解し、自分たちのビジネスに、あるいは、お客様への提案に、活かす方法を見つけなくてはなりません。

ITソリューション塾は、そんなITの最新トレンドを体系的に分かりやすくお伝えするとともに、ビジネスとの関係やこれからの戦略を解説し、どのように実践につなげればいいのかを考えます。

次のような皆さんには、きっとお役に立つはずです。

  • SI事業者/ITベンダー企業にお勤めの皆さん
  • ユーザー企業でIT活用やデジタル戦略に関わる皆さん
  • デジタルを武器に事業の改革や新規開発に取り組もうとされている皆さん
  • IT業界以外から、SI事業者/ITベンダー企業に転職された皆さん
  • デジタル人材/DX人材の育成に関わられる皆さん

詳しくはこちらをご覧下さい。

  • 期間:2024年5月15日(水)〜最終回7月24日(水) 全10回+特別補講
  • 時間:毎週(水曜日*原則*) 18:30〜20:30 の2時間
  • 方法:オンライン(Zoom)
  • 費用:90,000円(税込み 99,000円)
  • 詳細のご案内とお申し込みはこちら

新入社員のための「1日研修/1万円」

今年で8年目を迎える恒例の"新入社員のための「1日研修/1万円」"の募集を始めました。

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社会人として必要なITの常識を学び、ITに関わることのやり甲斐を考える

ChatGPTや生成AIの登場でビジネスの前提が大きく変わってしまいました。DXもまた再定義を余儀なくされています。アジャイル開発はもはや前提となりました。しかし、ChatGPTに代表される生成AIが何か、何ができるのかも知らず、DXとデジタル化を区別できず、なぜアジャイル開発なのかがわからないままに、現場に放り出されてしまえば、自信を無くしてしまいます。

そんな彼らに、いまのITの常識をわかりやすく、体系的に解説し、これから取り組む自分の仕事に自信とやり甲斐を持ってもらおうと企画しました。

お客様の話していることが分かる、社内の議論についてゆける、仕事が楽しくなる。そんな自信を手にして下さい。

【前提知識は不要】

ITについての前提知識は不要です。ITベンダー/SI事業者であるかどうかにかかわらず、ユーザー企業の皆様にもご参加頂けます。

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これからの営業の役割や仕事の進め方を学び、磨くべきスキルを考える

ChatGPTの登場により、ビジネス環境が大きく変わってしまいました。もはや、お客様からの要望や期待に応えて、迅速に対応するだけでは、営業は務まりません。お客様の良き相談相手、あるいは教師となって、お客様の要望や期待を引き出すことが、これからの営業には求められています。

AIやテクノロジーに任せるべきことはしっかりと任せ、人間の営業として何をすべきか、そのためにいかなる知識やスキルを身につけるべきなのか。そんな、これからの営業の基本を学びます。また、営業という仕事のやり甲斐や醍醐味についても、考えてもらえる機会を提供致します。

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