テクノロジーに心も仕事も奪われそうな日々を綴ります。

ちょっとマストドンが気になっている企業が導入・運用で注意するべき7つのこと

»

むかし、象がのっても壊れない筆箱というのがありましたが、今必要とされているのは象がのっても壊れない (落ちない) サーバーです。

そう、マストドンですよ。

新しもの好きや、SNSに熱心な企業ならばもう視野に入れていたり、下手するともう導入を決めたりしているところでしょうか。

その気持、わかります。

分かるんだけど、ちょっと待ってみようか。

というのも、日本最大級のインスタンスを運用している nullkal 氏の奮闘を見てきて、これはまだ普通の企業には無理だなと感じたのです。

それはなぜか。

今から説明していきます。

まず、細かいことは抜きにして、企業としてインスタンスを立てる上での注意点を箇条書きで。

  • さくらインターネットが簡単にできるホスティングサービスを出すまで待て
  • どんな事情があってもSIerには頼むな
  • 自前インスタンスによそ者を入れるな
  • 間違ってもかっこつけて AWS とかでやってはいけない
  • 企業ドメインのサブドメインで運用しろ
  • mstdn.jp, pawoo.net, friends.nico のどれかにアカウントを作って参加しろ、観察しろ、今すぐだ
  • 上記以外に、SNS運用の鉄則は守れ

といったところです。

では個別に解説しましょう。

さくらインターネットが簡単にできるホスティングサービスを出すまで待て

マストドンはウェブサービスです。しかも、自分でサーバーの構築から行う必要があります。

その上、まだまだ出てきたばかりのプラットフォームです。アップデートも頻繁に行われています。

サーバーを用意してドメインなどを設定し、定期的にアップデートするといったようにウェブサービスを運用するのと同じ手間がかかります。

たとえ IT 企業であったとしても、本業ではない部分にこの手間をかけるのが合理的かどうかという問題があります。

なので、簡単にセットアップできるようなサービスが出てくるまで待つのがいいでしょう。

サービス提供者に関しては、この手の新しいクラウドサービスを積極的にあつかう信頼性の高い企業がよいので、国内だとさくらインターネットがよいでしょうね。

なお、今でもさくらのクラウドに「スタートアップスクリプト「mastodon」」というものがあるのですが、まだまだ Ruby on Rails を知らない技術者のためのサービスという感じがします。

プログラムのアップデートにも、コンソールに入ってコマンドを打つ必要があるようですし。
スタートアップスクリプト「Mastodon」の更新のお知らせ・旧スクリプトを使用して作成されたインスタンス向けの作業のお願い | さくらのクラウドニュース

手を出すタイミングとしては、ドメイン名の設定から状態監視、プログラムのアップデートくらいまでをウェブページでできるようになってからがいいと思います。

どんな事情があってもSIerには頼むな

上の注意とも絡むのですが、いずれマストドンのホスティングを簡単にできるようになるはずです。

既に海外ではホスティングサービスも出ていますし、日本でもその方向に行くでしょう。 Masto.Host - Hosting for Mastodon Instances

100ユーザーまでで月額5ユーロ。大抵の企業はこれで済むはず。さくらインターネットが同様のサービスを出すまで待つのが無難ですが、英語のサイトでなおかつデータが国内に無くてもいいという企業ならこのサービスを使うのもいいでしょう。

SIerに頼んでも構築だけで相当なコストになるというのと、変にオレオレクラウドをやられたらサーバーOSやその他環境の変化のたびに時間と金を奪われます。

今までどれだけそれで苦労した企業があったことか。。。

そういうわけで、男は黙ってホスティング、という心づもりでいきましょう。

自前インスタンスによそ者を入れるな

自分で立てたインスタンスには自社の社員だけを登録するようにしたほうが無難です。

公にユーザーを募集した場合、リソースのコントロールだけならともかく、著作権問題や炎上対策など、普通の企業では持っていないノウハウが必要になります。

現在、ドワンゴとpixivが自前でインスタンスを作成し、誰でも登録できるようにしていますが、この2つの企業はコンテンツをあつかう企業であり、技術力もあるのでこういうことができるのです。

ですから、自分で作ったインスタンスには目の届く範囲の人間だけを置くようにしないと相当、想像以上に運用が困難になるでしょう。

間違ってもかっこつけて AWS とかでやってはいけない

ユーザーがおもったより多くなったり、炎上したりといった感じで、インスタンスの負荷が突発的に大きくなるということはよくあること。

リソースの計算はかなり困難なので、よっぽどお金に余裕がある場合でなければ AWS や Azure といった従量課金のサービスは避けたほうがいいです。

最初の条件にあげたとおり、さくらインターネットが使いやすいサービスを出すまで待ちましょう。

企業ドメインのサブドメインで運用しろ

今のところ、というかおそらくこの先もマストドン上で本人確認を行なう機能というのは出てこない可能性があります。

マストドン全体を管理する企業や団体がない以上、本人であることを確認するすべが無いので。

もちろん、インスタンスを運営する会社が独自に本人確認を行う可能性はありますが、それにはマストドンのコードを書き換える必要があるのでそれと本人を確認する手間というのを果たして受け入れるかどうか。

それよりも、自社のドメインのサブドメインならば自社の立てたインスタンスであることを証明できるので手っ取り早いです。

mstdn.jp, pawoo.net, friends.nico のどれかにアカウントを作って参加しろ、観察しろ、今すぐだ

ここまで、インスタンスを安易に立てるなという警告をしてきましたが、マストドンへの参加は早ければ早いほうがいいです。

僕の感覚で恐縮ですが、今現在マストドンは祭が終わって第一次ブームが来ています。

この先もある程度継続する可能性のあるプラットフォームではないかと思います。

もし、マストドンが継続しなくとも、その背後にある哲学、サーバー同士がP2Pでつながり、それぞれのPeerにユーザーがぶら下がるというものはある程度普及する可能性は高いです。

そもそも、マストドンの構成は村同士がつながって世界ができあがるという、かなり人間社会に近い構造をしています。

今までのインターネットはサバクラかP2Pのどちらかの選択でしたが、そこに新しい概念が加わったのです。

今のうちに、できるだけ早く参加して、どのような世界なのか、どう振る舞うべきなのかを学んでおくことは今後のSNSとの関わりで有益なものとなるでしょう。

上記以外に、SNS運用の鉄則は守れ

新しいとか古いとかは抜きにしても、マストドンはSNSです。

SNSを運用する上で必要なことは手堅くやりましょう。

というわけで

企業がマストドンインスタンスを運用することに関して、現時点での見解を書いてきました。

マストドンは nullkal 氏が mstdn.jp を立ち上げてからまだ2週間ちょっとでTwitter初期の2年分くらいの動きはあったんじゃないかというくらい動きが早かったし、いまだに発展の途上にあります。

その過程でサーバーのリソースが早い段階で限界に達したり、さくらインターネットの支援を得た今でもチューニングに苦労している様子を見てきました。

さらに、参入してきた企業がドワンゴとpixivの二社というのも、SNSのプラットフォームを運用するとはどういうことなのかを象徴しているようにも思います。

Twitterでアカウントを取得して運用するのとは全く意味合いが異なり、そのサーバー上で不特定多数の、身元もわからない人間が起こしたことにも責任が発生するのです。

そういったあたりを踏まえて、流行っているからと言って安易に飛びつく危険性を提示しました。

マストドンはとても動きが早いので1週間後には状況が全く変わっている可能性もありますが、このエントリーが少しでもヒントになれば幸いです。

Comment(0)

コメント

コメントを投稿する