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バリアフリーが招く弱体化のリスク

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こんばんは、日曜日まで一人暮らしの松井です。

今回のエントリーはあるブログと、あるニュースを見て思ったことをつらつらと。

まずはこちら。
とある講演会の感想 - Chikirinの日記

年老いても甘えるわが子を養おうとする型のお話。やるべき事があるということが人を活性化し、健康でいさせるという視点です。人間には適度な負荷が必要で、刺激のない生活をしていると若くても弱っていくことは言うまでもないことでしょう。

それどころか、今ではかなり増えてきたバリアフリーでさえ疑問の声が上がっています。確かに身体的にハンデを抱えた人にとっては必要でしょうが、無闇矢鱈と導入するのも考えものです。なにせ、負荷を減らすということはリハビリと逆のベクトルなわけですから。
適度な段差が老化を防ぐ!バリアフリー不要の声も・・・ | 賃貸経営ニュース: トレンド情報 | 賃貸経営ナビ

ウソだろ!?バリアフリー―切りひらけ!不要介護時代への道
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では、ここまでの話を踏まえつつ次の話題。
PS3をハックした「Geohot」氏、Facebookに入社 - ITmedia ニュース

これが日本だとどうなるか。
Librahack : 容疑者から見た岡崎図書館事件

どちらも有名なニュースで、ネット界隈の方ならよくご存知でしょう。

明らかに意図的にシステムに侵入したPS3ハックの人物を招き入れる海外企業と、通常の利用範囲で自動化を試みた人物を逮捕してしまう日本。このあまりにも違いすぎる対応にはやはり今の国の現状を思ってしまいます。

もちろん不正侵入は犯罪行為であり、その内容によっては罰せられるべきところではありますが、あえてリスクと思われる要因を自ら内包してしまうことで自社の技術を強化する。これはインフルエンザの予防接種と同じような考えと言ってもハズレではないと思います。

彼はおそらくFacebookで、新しいシステムの開発やセキュリティテストなど、その能力を遺憾なく発揮することでしょう。

翻って日本の例を考えると、日本ではリスク要因は徹底的に排除しようとします。件の図書館は確かに犠牲者の側面もあるのですが、1秒間にたった1リクエストを送るだけで応答しなくなるシステムを、公共のサービスに導入するという問題は全く考慮していないのですね。

しかも、そういったシステム開発側の落ち度などには目もくれず、ただシステムが停止したという結果だけを見て、きっかけとなった人物を世の中から排除しようという動きはもはや形容する言葉すらみつかりません。

ここで本来なら図書館のシステムを開発した会社は図書館をハックした人物をアドバイザーなり何なりで迎え入れ、企業体制を整えるべきと思うのですが、異物を嫌う文化によりそれもかなわないのでした。

さて、冒頭のバリアフリーの話と合わせて考えると、今日本という国は国家ぐるみでリスク要因を排除し、ありとあらゆる物をバリアフリーにしようという姿勢にあります。先日のホリエモン収監もしかり、経済構造に変化を持ち込もうとしたということをネタに有罪判決をもらったわけです。しかし、あまりにリスク要因の無い環境では、新たに発生する問題を解決する機会がなくなり、全く頭を使わない現状維持ラブな状態になり、やがて人々の脳みそはゆるゆるのババロア状態となってしまいそうです。

ちょっと前にGDPが中国に抜かれたとか話題になってますが、このままでは韓国台湾シンガポールなど、リスクを物ともしない新興国にあっという間に抜き去られるでしょうね。これから先、日本という国にはバリアフリーではなくリハビリが不可欠になる気がしてなりません。

余談ですが、今年85になる僕の祖母は階段しか無い団地の4階に住んでいますが何の問題もなく昇り降りし、そこそこのスピードで小走りもしますよ。やらざるを得ない状況は人を強くしますね。ただ、一緒に歩いてると田舎感覚が抜けないのか、横断歩道でないところも平気で駆けていくんで気が気でないのですが。。。

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