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クラウドが未だに怖いと思っている企業への適度な挑発

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ネット界隈ではクラウドコンピューティングの盛り上がりはすでにとどまることを知らない状況です。しかし、企業への導入においてはまだまだ慎重論が根強いようです。

と言うような事は前々から言われていた事ではありますが、クラウドと言う言葉が聞かれるようになってからもう何年経ったことでしょう。

この言葉が誕生したのは2006年夏、GoogleのCEO エリックシュミットの発言が発端のようです。そして、その2年後には@ITの記事で「よく聞かれるようになった」と表現されています。
5分でわかるクラウド・コンピューティング − @IT

そしてさらに2年半が経とうとしている今、クラウドコンピューティングの導入事例がポツポツとしか聞かれないのは一体どう言う事でしょう。

そもそも、クラウドコンピューティングと言う言葉が現れる前からASPやSaaSといった呼称で同じような技術はあったはず。それなのにこうした「外部ネットワークにあるアプリケーション」が利用されないのは何か致命的な欠陥でもあるのでしょうか。

もしや、企業の方々には名前が分かりにくすぎるのでしょうか。今までの名称に比べれば親しみやすく、その形態をよく表したナイスな表現だと個人的には思うのですが。

クラウド

遠くに感じるんでしょうか。

クラウド。

丸をつけても効果はなさそうです。

では、クラウドコンピューティングがなぜ浸透しないか。なぜみんながそんなに怖がるのかを真面目に検証して見ましょう。

前置きから飛ばしすぎてすみません。


クラウドの近況と未来予測

まずは以下のリンク先をご覧ください。

http://p.tl/lbXR{【IDC Japan予測】国内パブリック・クラウド市場、2014年には1,400億円市場に : クラウド・コンピューティング - Computerworld.jp
インターナルプライベートクラウド市場に関する調査結果2010 - レポートサマリー - Yano ICT

いきなり登場したプライベートクラウドと言う言葉ですがITmediaオルタナティブをご覧の皆さんならご存知かと思います。と言う事はクラウドコンピューティングも良くご存知でしょうから冒頭のくだりは不要だったか。

違う企業の予測なのであくまで参考値ですが、今後の成長率ではクラウドがわずかながら上回って行くということです。これについては僕も同感です。

そもそも、プライベートクラウドは今までデータセンター運用の形をとっていた物に名前をつけただけなので、今後クラウドにシフトして行くのは当然の流れでしょう。

しかし、プライベートクラウドも結構な粘りを見せそうな雰囲気ですね。

では、クラウドがプライベートクラウドになかなか追いつけない理由を見てみましょう。それを一つ一つ捻り潰してクラウドは怖くないということを証明したいと思います。


クラウドの怖いところ

クラウドが浸透しないというのはやはりクラウドにちょっとした恐怖感を持つ企業が多いということでしょう。

以下、クラウドの利点と欠点について述べているウェブサイトを参考に、問題点の検証と解決策を考えます。
【解説】クラウドを肯定する5つの理由、否定する5つの理由 : クラウド・コンピューティング - Computerworld.jp

1:潤沢なネットワーク帯域が必要

なるほど、デザイナーたちがアクセスするファイルですから相当サイズの大きなものでしょう。そういったデータをクラウドに置くのは確かに帯域の面と、ストレージのレンタル料金の面でかなり負担が大きいかも知れません。

この会社は適材適所ということを考えなかったのでしょうか。大容量のファイルをプライベートで処理しつつ、一般的な事務をクラウドに移すことが現時点でのベストプラクティスであることは明らかでしょう。

選択ミスをクラウドのせいにされても困ります。


2:アプリケーション・パフォーマンスに難

すまん、今投資の話はしていないんだ。

それはさておき、レアケースを持ち出して非難するというのはどうかと。0コンマゼロ何秒の争いをするビジネスがこの世にどれだけあるというのでしょう。


3:取り扱うデータには制約が

これは確かに問題が大きそうです。

しかし、現在ではクラウドサービスもSSL通信が当たり前となっています。それに、自前のネットワークとクラウドサービス側のネットワークではセキュリティの高さはそう大差ないどころか、クラウドのほうがよっぽど慎重に設計しているのではないでしょうか。

となると、情報漏洩の危険は通信の傍受にあるということになりますが、その危険性は本当に高いのでしょうか。

情報漏洩のほとんどが内部の人間によるものである事実を考えると、クラウドであることのデメリットは無視できるレベルではないですか?

情報漏洩対策サイト 第一回 原因の80%は内側にアリ− 【セコム】


4:大企業ではメリットが薄い可能性も

本当にそうだろうか。

クラウドサービスのほとんどは定額制である。それを考えればコストのめどがたつぶん管理しやすいというメリットはあるだろう。

プライベートネットワークにシステムを組む場合、データベースのクラスタ化や遠隔地へのバックアップ、障害対応や監視。また、利用状況に合わせてリソースを調整するコストやピークにあわせた設計などコスト要因は多い。

データの重要度とトラフィックコストなどを総合的に考えて適材適所で利用すればいいでしょうに。


5:“冒険的精神”にあふれた人材が必須?

何を言っている。

クラウドに手を出す以前に、挑戦しない企業に明日はない。

しかし、例がだいぶ極端だった気がしますが、皆さんはどう思いますか。まあ、僕の回答も終始適材適所を主張しているような感じで申し訳ない感じもしますが。

そう言ったわけで、しっかりと使いどころを選択するという前提に立てば、クラウドは怖いどころか大きなメリットをもたらしてくれる技術であることは伝わったと思います。


緩衝材としてのXenApp

もし、ここまで読んでも「クラウドはちょっと」という場合にはXennAppを導入してクラウドがどんなもんかと言う感覚をつかんで見るのもいいかもしれません。

XenAppのWebInterfaceという機能を利用するとWindowsアプリケーションをブラウザから起動する事ができます。でも、決してブラウザの中で動くわけではないんですけどね。

今回はXenAppを解説しませんが、ウェブからOfficeを起動するというのはなかなか乙なものです。機会があったら試してみるのも良いでしょう。評価版もあることですし。

ただ、Microsoft自身がOfficeを一部ウェブ化しちゃいましたので、驚きはやや現象気味。


ビジネスチャンスは期間限定か

今回はこうして、中小企業にクラウドコンピューティングが浸透する気配があまり感じられない事を軽度に嘆いてみました。

しかし、だからこそコンサルティングの方々には頑張ってクラウドを普及させてもらいたいと願っています。もう数年遅れたらコンサルティングが必要ないくらい安心で、導入も簡単なサービスが山ほど出てきてしまいそうですから。

ちなみに僕はというと、クラウドとはちょっと距離をおいてある会社のネットショップ立ち上げのお手伝いをしています。いずれその話もできればと思います。

それでは。
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