「仮想化」をキーワードに情報インフラの世界を考察します。

【NEW IT, NEW ITIL】RBAからRPAへ

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近年、あらゆるところで「RPA」というキーワードが目に入ってきます。IT業界特有のバズワードか、とも思われたこの言葉は消えることなく、むしろますます勢いを増しています。

RPAとは、Robotic Process Automationの略で、ロボットによるプロセスの自動化を実現する方法の総称です。IT系のニュースサイトではすでによく見る三文字略語で、ご存知の方も多いでしょう。しかし、この言葉がいつから使われ始めたのか、知っている人はどれほどいるでしょう。

私が知る限りでは、RPAという言葉が使われるようになったのは2013年以降のように思えます。新興技術の登場を調べるのに役立つガートナー社のHype Cycleでは、2016年版アプリケーションサービス Hype Cycleで突然登場しました。

出典:Gartner「アプリケーションサービスのハイプサイクル2016年版」
https://www.gartner.com/doc/3371727/hype-cycle-application-services-

それより前の2015年版の技術動向を調べると、アプリケーションリリース自動化などが登場し始め、ITプロセス自動化が安定期に入ろうとしていた頃で、RPAの文字は登場しません。つまり私が述べたいのは、RPAとはまったく新しい技術ではなく、これまでに登場していた自動化ツールの仕組みを、切り口を変えて利用拡大したものであるということです。

RPAは今までIT側で使っていた自動化ツールをBiz側へ拡大したもの

ITの世界では、「できるだけ楽ができる」ように、これまで様々な自動化の取り組みがなされてきました。IT業界に10年以上いる方なら、次のキーワードとその組み合わせに納得してもらえることでしょう。

■RBA(Run Book Automation)
■ジョブスケジューリング(ジョブコントロール)
■ITプロビジョニング、オーケストレーション
■ETL(Extract Transform Load)、EAI(Enterprise Application Integration)、ESB(Enterprise Service Bus)
■SOA(Service Oriented Architecture)
■BPM(Business Process Management)

以下、HfSが発行するレポートのP39は比較的近い図になっています。

https://www.accenture.com/t20161213T013644__w__/us-en/_acnmedia/PDF-39/Accenture-HfS-Blueprint-Intelligent-Automation-2016-Excerpt.pdf

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このうち、RBAはIT部門の定型運用作業をワークフロー化し、自動的に一連の処理を実行させるというものです。RBAを導入したIT部門では、運用業務の自動化が草の根的に広がり、どんどん作業が自動化されていきます。Excelで同じような処理を繰り返すのにマクロを組むのと似ていますが、ワークフロー画面に処理アイコンを貼り付けてコネクターでつなげると動くので、導入の敷居は低いです。

例:SystemwalkerのRBA(出典:富士通さんのサイト

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RBAはIT部門の人が楽をするためのツールでした。これを業務部門の人にも活用してもらえばユーザー業務の軽減になるのではないか、ということで自動化する対象を移したのがRPA(Robotic Process Automation)です。

RBAはIT運用者が使う、RPAは業務担当者が使う...というわけではない

RPAは使用者がIT運用者ではないため、ITリテラシーは高くありません。複雑な設定をしたり、出てきたエラーを自力で調べて対処することは望めません。そのため、RBAよりももっと簡単で誰でも使えるようにしなければ現場で活用できません。

「誰にでも使えるようにする」というのは実現困難なテーマですが、発想を変えて、「誰もさわらなくてもよい」という形を目指すのはそれほど難しくありません。要するに、最初から最後までツールで自動処理させればよいのです。

RPAの実装アプローチは基本的に「End to End」での処理です。たとえば、メールで届いた問い合わせをRPAツールが自動検知し、決められた処理にしたがってデータ処理して、メールで自動返信するという流れが考えられます。想定しない内容がメール含まれていた場合は、業務担当者へメールを送って、RPAツールではそれ以上処理しないという例外対応を設定することで、複雑な対応が交じるケースでも自動処理を活かすことができます。

すでにRPAは現場で利用されています。有名な事例として、三菱東京UFJ銀行では年8000時間の単純業務を削減することに成功しました。

参考:ITpro「8000時間の事務処理を削減した三菱東京UFJ銀行」
http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/column/16/110700255/110700003/?rt=nocnt

古くからJP1と手製スクリプトで作業を自動化したり、Excelマクロと組み合わせて運用報告書を自動生成していた人からすると、技術的に目新しいことはない話なのですが、便利な自動化ツールの存在を知らないどころか、ITを信じていない人(※)もいる事務オペレーターレベル側でこのようなことが行われ始めたというのは革新的なことなのです。
※Excelの自動計算が信じられないといって、手元の電卓で検算する人もいるくらいです

次回以降、本ブログでは、RPAを取り巻くAI・New ITの潮流、RPAを業務側へ適用したときに気にするべきこと、IT側への活用方法、RBAなど既存の自動化ツールとの棲み分けについて扱っていこうと思います。

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