Windowsと決別したフランス警察:PC1台で7万円のコスト削減
ヨーロッパといえば独占や寡占に対して特に厳しい取り組みを行っており、 近年ではマイクロソフトがその煮え湯を幾度と無く飲まされてきたことが印象的でした。
このEUには、欧州委員会が運営するオープンソース推進サイト(Open Source Observatory and Repository(OSOR))というものがあり、その名の通りの活動をしているのですが、先週、この組織が発表したところでは、 フランス国家憲兵隊がクライアント端末のOSを全てWindowsからUbuntu Linux(アバンチュ)に切り替えたとのことです。
『もうWindowsは必要ありません、フランス警察がLinuxへの全面移行を決定』
http://www.technobahn.com/cgi-bin/news/read2?f=200903132032
UbuntuはLinuxの中でも最も人気のあるOSであり、2004年に登場してからというもの、 DELL社などのPCにも搭載されるようになったディストリビューションであることはよく知られていますね。そのため、 北米や欧州では企業向けPCとして出荷されることもあるのですが、今回特筆すべきなのは、 フランス国家憲兵隊がUbuntuを選んだ理由です。
同組織が抱える9万台のPCは現在WindowsXPで稼動しているが、Vistaへのアップグレードに優位性を感じなかったため、 Linuxへの移行を決断し、商用クライアントOSとしてサポートが豊富なUbuntuを選択しています。
プラットフォームの変更でエンドユーザの教育費用が膨れるのではないか、という懸念もあったようですが、
・アイコン表示が違う
・標準添付のミニゲームの種類が違う
といったくらいしか差は無かったようで、大した再教育は必要にならないことが分かったそうです。
今回、9万台のクライアントPCをWindows→Linuxに移行することで、トータル63億円の費用削減を見込むとのこと。 これを1台あたりに換算すると、
63億削減÷9万台=7万円削減/台
となり、1台あたり7万円のトータル運用コスト削減につながると算出していることが分かります。内訳はおそらく、製品サポート費用、 CAL、パッチコントロールにかかる運用費が含まれていると思われます。
記事中には、別途オフィスソフトからOpenOfficeへの移行も行っているとしていますが、 こちらの削減効果も上記金額に含まれているかはちょっと分かりませんでした。
※多分含まれていないと思いますが。
クライアントPCをワードやエクセル、パワーポイントとメール、ブラウザぐらいしか使っていないのであれば、 フランス国家憲兵隊のコスト削減アプローチと削減金額は参考になると思います。