台湾地震ネットワーク障害にみる海底ケーブルの四方山話
先日の台湾地震による通信障害を取り上げているオルタナブログが石川さんの「異聞か、 異文化」しかないので、私のブログでも取り上げてみようと思います。
いくつかの新聞やメディアによると、台湾と日本を結ぶ海底ケーブル6本のうち4本が損傷してしまったことで、 残ったケーブルの通信量が跳ね上がり、これまで台湾を経由していた通信が非常につながりにくくなったということです。
障害の影響は、日本、韓国、香港、中国本土、シンガポール、フィリピン、マレーシア、タイといった国々に及んでいます。
香港、シンガポール、フィリピンといった地域にアジアの情報HUB機能を持たせている企業はグローバルレベルでみると非常に多く、 そういったHUB拠点から日本への通信は台湾ルートを通るため、 今回の通信障害で被害を受けた企業は日本国内でも相当数に上っているはずです。
地震から数日経過しているため、ルーティングの変更などで迂回経路を通した通信に切り替わっていると思いますが、 迂回するにしても中国経由のケーブルは様々な事情で現実的ではなく、ほぼ唯一の選択肢が北米経由のルートになるかと思います。 つまり地球をほぼ1周するわけです。なるほど、これではレスポンスの大幅な低下も仕方が無い。 今回の海底ケーブル損傷の復旧には2週間以上かかるということで、年が明けてもしばらくは不便な期間が続きます。
当社も情報機能の多くをアジアのHUB拠点に集約しているため、社内メールが非常につながりにくいという状況が続いており、
結構困ってます。
※今日はお休みの会社も多いせいか、通信状況は大分良くなっています。
拠点間を結ぶ海底ケーブルは、このような不測の事態による損傷に備えて予備ケーブルが敷かれているものですが、 今回も台湾を経由するケーブルが6本もあったから、一部とはいえ、最低限の通信を維持できる状況に持ち込めたのだと思います。 太平洋間を結ぶケーブルも予備ケーブルがいくつも敷いてあり、マリアナ海溝には複数のケーブルがプカプカ浮いていますね。
ケーブルは50トンの物体を吊るせるほどの強度を持っていると某社のWebで紹介されていましたが、 今回の地震はそれを超える力がケーブルに働いたのでしょうね。
ちなみに、海底ケーブル損傷の原因で意外に多いのが漁船の地引網だそうです。そのため、 実は深海部よりも沿岸部の方が頑丈なケーブルを使用しているという面白い話を、某社 (日本で海底ケーブルを扱っているのはたった3社しかありませんけど・・・)の方から聞いたことがあります。