「仮想化」をキーワードに情報インフラの世界を考察します。

集中して分散してまた集中

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三菱東京UFJ銀行が、仮想化技術で店舗サーバーを統合するというニュースが流れています。
http://www-06.ibm.com/jp/press/20060417001.html

採用するのはIBMが誇るzサーバですから、オープン系の中で最も信頼性が高い製品を選定したということだと私は理解しています。

ちょっと違和感を感じるのは、メディアの取り上げ方。

例えば、日経系のニュースサイトでは、「三菱東京UFJ銀行が仮想化技術で店舗サーバーを統合へ」というタイトルで取り扱われていました。

これだけ見ると、「仮想化技術を取り入れるとは三菱UFJも先進的じゃないか」と思ったりしませんか?

でも、実際は、オープン系メインフレーム(zサーバ)でLPARによる論理区分によるサーバ分割をするのでしょう。

これって、従来からあるメインフレームの機能です。実は目新しい技術ではありません。

もしこれが10年前の出来事なら、メインフレーム新規発注という題名で取り扱われていたのだろうと思うのは、私だけでしょうか?

ふと、歴史を振り返ってみると、ここ30年でインフラ技術はぐるっと1周してきたようです。

70年代、ホストとダム端末による集中管理が当たり前という時代でしたが、サーバの低価格化とPC端末の性能向上により、80年代後半にはクライアント/サーバ(クラサバ)モデルが全盛となりました。

あの頃は、猫も杓子もダウンサイジングという状況で、運用コスト削減とホスト→クラサバ構成への移行はほぼ同義でしたね。

しかし、ダウンサイジングにより増えすぎたサーバは、逆に運用固定費を押し上げ始め、今再び、集中管理の時代が訪れようとしています。

ただ、30年前とちょっと違うのは、プロプライエタリではなく、オープンなシステムの集中管理が求められているということです。

1社が提供するソフトウェアとハードウェアなら、それを統合管理することは難しくないですが、ソフトウェアだけでも複数の企業から提供されているシステムを管理するのは大変です。

製品によっては、機能が重複していたり、もしくは干渉しあってうまく動作しないということもあります。

加えて、ライセンス体系の複雑化も新しく加わった問題でしょう。

プロプライエタリなシステムを提供していた時代なら、メインフレーム上でいくらサーバ分割を行おうとも、単一ベンダーとユーザ企業間だけで取り決めを交わしておけば十分でしたが、サーバ上で複数ベンダーのソフトウェアが動作しているとなると、各ベンダーごとに契約を結ばねばなりません。

マイクロソフトのように、サーバ分割単位で課金を行うことを迫るベンダーもいれば、Oracleのようなコア数単位で課金を求めるベンダーもあり、システム上で稼動するソフトウェアの数だけ、ライセンス体系も考えなければならないのが非常に手間です。

このあたりは、業界のコンセンサスを固めるのに少々時間がかかるかもしれませんね。

余談ですが、三菱東京UFJ銀行の前身である東京三菱銀行は、都市銀行の中で、初めて広域イーサネットをATM(勘定系)ネットワークに採用していたのを思い出しました。

たしか、パワードコムとNTTコミュニケーションズの双方にサービス加入して、片方のキャリアが倒れても、もう片方のキャリアでサービスを賄う形で利用していましたね。

この銀行には、積極的に技術を取り入れる土壌があるのでしょう。今後が気になる企業です。

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