このブログでは音楽・デザイン・システム・アプリと、ジャンル問わず好き勝手にモノ作りをやって来た独立系「歌うデザイナー」の視点から、身近なITや突っ込んだITの魅力や生活の中での捉え方、モノ作りを通じて感じる事、気に入った道具などを中心に書いていこうと思います。

結局クラウドって何?(3)もうパソコンは飽きた。

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あるサービスの立ち上げ事業をマネジメントしている部長がこう言った。
「クラウドには無限の可能性がある!」
彼はアパレル業界やなんちゃって農家など、全く技術畑とは無縁のキャリアを歩んできたが、10年ほど前に現在のSI会社のSEマネージャーとして抜擢された。 それからというもの、本人はネットとEmail程度しかPCなどを利用しないが、IT技術に対する「勘」が優れていたと自称するその男は、いわゆる「純然たる技術者ではないITマネージャー」というよくある地位に落ち着いていた。

そんな彼がクラウドに感じた無限の可能性の正体とは何だろう?

その言葉の後、彼はひとしきりクラウドの仕組みについて語り出す。

「サーバ会社はまるで肉を切り売りするかのような売り方をし始めている。」
「利用者は必要な分だけ肉を買えば良いんだ。」

なるほど。そう的が外れていないばかりか、いかにもSI企業のマネージャーが(5年くらい前から)考えていそうな事だ。
しかし、このメリットはもう既に仮想サーバなどの台頭で実現され尽している事で、近年のクラウド情勢で変わった事と言えば、データセンター内での仮想マシンのハンドリングを行うインターフェイスが劇的に進化し、ダイナミックに仮想ハードウェアをスペックアップするなどのが容易になった事くらいだ。
そこからハイアマチュアレベルの仮想サーバユーザーが出てきたとしても、それはSI企業やデータセンター事業にとっての「無限の可能性があるビジネスチャンス」とは呼びにくい。

それでも、また新しいビッグチャンスを捉えたかのようにクラウドへの期待を露にする。
SIに限らず、IT事業者もしくはデジタル物好きには決して珍しくないこの手の言動は、実はある事を物語っている。

★こんなもの、みんなもうとっくに飽きてるはずだ

話はそれるが、ちょっとPCの話をしよう。

あなたはPCを持っている?
持っているあなたは、PCを何に使っている?

仕事に使ってる?不思議な事に、あなたが言うように今世界はパソコンが無いと流すことすらできない業務が点在している。
年賀状を作ってる?あなたは日本の中でも選りすぐられたデジタルお父さんに違いない。
趣味や創作に使ってる?根気強さに感服する。

実は、僕らコンシューマは数年も前から「パソコン」に飽きている。
YouTubeやGoogleで面白いのモノを探すのに、遠方に赴かなければ出会えない様な、カタログや雑誌でしかおいそれとお目にかかれない最新ブランドのおしゃれな服を探してZozotownを眺めたり、一円でも安くコモディティグッズを手に入れる為にAmazonや価格ドットコムを見る時などに仕方なく使ってはいるが、あんな面倒な機械はできればもう触りたくないのだ。

原稿を手書きで書いても出版社には受け取ってもらえないから仕方なく、もう使い始めてから10年も経つのにちっとも自分が何の漢字を使いたいのかを一向に理解しようとしないWordを使ってタイピングしてる。

手書きで100枚の年賀状を書くよりはマシだから仕方なく、住所録の作り方すらよくわからない複雑怪奇なパソコンの年賀状作成ソフトを使う。しかも、いつも仕上がりには満足なんてできっこ無いが、まぁ我慢する。みんなおんなじ条件なんだろうから。

他に調べる方法が無いから、いちいち考えている事をGoogleが少しでも理解しやすい様に文章にして入力しているのも、
(一昔前の)パソコンでインターネットを始めるのに電源を入れてから10分近く待つのも、
「だってパソコンがそうだから仕方なく」やっている。

そしてPCメーカーをはじめとしたIT業界はこの状況をそれなりに深刻に受け止めている。
「消費者は我々の先人が革新的な考えで創り出したパソコンをもう既に当たり前だと思ってる。特に欲しいから買うんじゃない。やりたいことを成す為に必要だから、買うんだ。」そう業界の皆が感じてもはや10年近くが過ぎようとしている。
なぜそう思うか?IT業界こそ誰よりも先に自らの業界が生み出したパソコンというものに飽き飽きしてるからだ。

すぐ壊れるし、操作が複雑で面倒。こんな製品を消費者が好んで買うわけがない。
こんな遅くて面倒なプラットフォーム上でアプリケーションを作るなんて時間の無駄だ。

心のどこかでそう感じているはずなのだ。

つづく

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