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商社マンの営業として33年間(うち海外生活21年間)、国内外で様々な体験をした。更に、アイデアマラソンのノートには、思いつきを書き続けて27年間、読者の参考になるエピソードや体験がたくさんある。今まで3年半、ITmediaのビジネスコラム「樋口健夫の笑うアイデア動かす発想」で毎週コラムを書き続けてきたが、私の体験や発想をさらに広く提供することが読者の参考になるはずと思い、ブログを開設することにした。一読されれば「読むワクチン」として、効果があるだろう。

海外旅行・出張危険回避講座 (一読さえすればリスクは最小、そしてあなたは、海外旅行のプロ) その7 ハイリスクエリア 空港での置き引き被害

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海外旅行・出張危険回避講座
(一読さえすればリスクは最小、そしてあなたは、海外旅行のプロ) その7 ハイリスクエリア 空港での置き引き被害

 安いパックツアーに友人たちとでかけて、荷物の検査を無事通過して、外に出た。現地の案内の係員が、外に出たところで、パックツアーの案内の用紙を掲げて待っていた。
(よかった)と、そばに寄る。
「お名前は?」
「山田です」「中田です」(いずれも仮名)
「はい、お疲れ様です。ロビーのあちらのソファー向こう側で他のみなさんと一緒に、待ってください」
「はい」ロビーは、迎えの人たちですごく混雑している。他のパックツアーのグループもたくさん、混ざっている。


 言われた場所まで行くと、(顔も名前も知らないが)、同じパックツアーのメンバーらしき人たちが、集まっている。空港の外のロビーに出たら、緊張感が消えた。途端にトイレに行きたくなった。
「私、ちょっとおトイレに行ってくる。カバン見ていてね。すぐに帰ってくるから」と、友だちの確認も得ないで、スーツケースとブリーフケースを置いて、走っていく。
(私も、行きたかったのに)と、思っていたら、もう一人の友だちがやってきた。
「ああ、良かった。私もトイレに行くから、カバン見ていてね」と、スーツケースとショルダーバッグを置いて、走って行った。これで最初の人のブリーフケースは誰も知らないままになってしまった。


 最初の女性が返ってきたら、自分のブリーフケースが無くなっていた。こんなことが、毎日、毎日、世界中で日本人旅行者に起こっている。
「あなたに見ていてねって、頼んだじゃない」と、言っても、すでに事は遅く、パスポートの入ったハンドバッグは無事だったが、お金が全部なくなってしまった。


 信じられないことだが、一人旅の日本人が、海外でトイレに入るのに、自分の荷物をトイレの入り口の横に置いたまま、中に入っていくという人がいるという。これは自殺行為だ。十秒でも荷物から目を離すと、荷物は消滅する。


 ヨーロッパでは、日本人の単独旅行者が空港のロビーを歩き始めると、3名の置き引き泥棒が、日本人の後をつけると言われている。日本人を追いかける権利を売買するとまで言われている。そんな状態で、ちょっと荷物から目を離すと、もう瞬間的に消滅してしまう。

 

 私は何度か、日本から十数人の使節団で出かけたことがあるが、空港や駅では、全員が一か所に荷物を集めて、荷物の数を数えて、それらの荷物の取っ手や、ショルダーストラップや、ハンドルにビニール紐を通してその、端を、残っている見張りをする人に、手渡して、
「荷物の数は、全部で13個です。この紐の端を持っていてください。私が帰ってくるまで、ここを離れないでください」と確かめた。「万一、ご自分がトイレに行かれるなら、この紐の端を仲間に預けてください」と念を押した。場所を移動する度に、荷物の数を数えた。こうして荷物の安全を守っていた。

 

ポイント
(1)一人旅なら、荷物は全部持って、(どんなに狭いところでも、持ち込んで)トイレに行くこと。
(2)知らない人は、誰も信じてはいけない。
(3)グループで旅行している場合には、荷物の責任者をその都度決めて、絶対に場所を離れないことを、確認すること。
(4)一本の紐(ワイヤなら更に安全)を持参すれば、安全性が高まる。

 

アイデアマラソンの一口知識
 アイデアマラソンでは、自分の関心を持っていることから、ノートに番号を付けて書き留め始めます。それは領域を決めないで、何を書いても良いのです。1月なら今年の計画を数十個書き留めても良いのです。
 もちろん、計画の具体的な進め方まで掘り下げてもよいのですが、基本的に短く、項目だけを書いていきます。一気に数十個は書けないので、数日から1週間を掛けても、書き留めていきます。
 そうなんです。発想は、その場では全部出ないのです。じっくりと考えて発想を出していくことが大切なのです。じっくりと考えて、一つ一つノートに書いていくことは、脳に素晴らしい刺激になり、更に深く思考を進めることができるようになります。

これが仕事でも学習でも大きな効果を発揮するのです。これを創造工学では、Resistance to Premature Closing (早期あきらめ閉鎖への抵抗度)と言います。

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「仕事ができる人のノート術」(東洋経済新報社)

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