オルタナティブ・ブログ > 読むBizワクチン ~一読すれば身に付く体験、防げる危険~ >

商社マンの営業として33年間(うち海外生活21年間)、国内外で様々な体験をした。更に、アイデアマラソンのノートには、思いつきを書き続けて27年間、読者の参考になるエピソードや体験がたくさんある。今まで3年半、ITmediaのビジネスコラム「樋口健夫の笑うアイデア動かす発想」で毎週コラムを書き続けてきたが、私の体験や発想をさらに広く提供することが読者の参考になるはずと思い、ブログを開設することにした。一読されれば「読むワクチン」として、効果があるだろう。

掻けば掻くほど、掻きたくなる その1

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掻けば掻くほど、掻きたくなる その1

 

 国民の大半が、「習慣性指掻き症」に罹ってしまった。

 

 スマホの普及はここまで来たか。先日の空いていた電車では、私以外の全員が指掻きをしていた。私も掻きたくなったが、正気を保つために、掻かなかった。

 

 私もボタン式の携帯と大きなサイズのタブレットのドコモ・メディアスを持っているが、これはメールを見るのがほとんど。メールの回答も、急ぎでなければ、急げば効果があるということでなければ、回答は研究所に戻ってから出す。わざわざ使いづらいタブレットのつるつるキーボードガラスでポツポツ入力するのは、苦しいし、時間の無駄だ。しかし、大至急の場合は、それでも回答をタブレットで入れるし、つなぎは大切だ。

 

 電車でも、プラットフォームでも、歩きながらでも、どこでもスマホを指掻きしている。これを英語ではSpaced outと呼ぶ。囚われの身なのだ。もう没我の状態、幽体離脱(OBEOut-of-Body Experience)に見える。もちろん、誰にも迷惑を掛けているのではない。車内であなた以外全員がやってるのを見渡すと、お寺でお坊さんが経典を黙読したり、戒名を板に書いているような一種の霊気を感じることができる。

 

 すき間時間があれば、ついついスマホを見てしまうのだろう。その「ついつい」が、ずっと続いて、一日がついつい終わってしまう。まったくすき間の無い生活をしている人たち。これは完全に異常な世界だ。横に小さな子供がいても、恋人がいても、指掻きは止まらない。

 

 すき間をスマホで食われると、本を読む時間がどんどんなくなる。それ以上に、掻きつづけていると書く時間はまったくなくなる。考える時間もないかもしれない。たぶん、家ではトイレにも、風呂でも指掻きをしているのだろう。

 

 この指掻きをしている向こうの世界、未来の世界はどうなるのだろう。これからずっと指掻きをする人生を過ごすのだろうか?ああ怖い。

 

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