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商社マンの営業として33年間(うち海外生活21年間)、国内外で様々な体験をした。更に、アイデアマラソンのノートには、思いつきを書き続けて27年間、読者の参考になるエピソードや体験がたくさんある。今まで3年半、ITmediaのビジネスコラム「樋口健夫の笑うアイデア動かす発想」で毎週コラムを書き続けてきたが、私の体験や発想をさらに広く提供することが読者の参考になるはずと思い、ブログを開設することにした。一読されれば「読むワクチン」として、効果があるだろう。

海外旅行・出張危険回避講座  (一読さえすればリスクは最小、そしてあなたは、海外旅行のプロ)その6 ハイリスクエリア 空港であなたを迎える人

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海外旅行・出張危険回避講座
(一読さえすればリスクは最小、そしてあなたは、海外旅行のプロ)

その6 ハイリスクエリア 空港であなたを迎える詐欺師
 
 酒井さん(仮名)は、サウジアラビアから、日本に帰国するために、バハレーンで乗り換えで、ソウルに到着した。彼は、8カ月間、砂漠の真っただ中にある巨大な化学プラントの建設現場で働いていた。


 砂漠の真ん中だから、何もすることがない。日中の作業が終わり夕方になると泳ぎ、週末になると麻雀を囲むことくらいだ。何もすることがないと、お金を使うこともない。帰国の時には、6000ドルほどの現金を持っていた。(その当時は、まだ$1が160円ほどだったから、90万円!

「日本に帰ったら、まず思い切り飲んで、寿司食って...」と思いながら、せっかくのソウル経由なんだから、まあ、二、三日は羽を伸ばそうと、ソウルに滞在することにした。サウジアラビアの旅行会社に頼んで、ソウルで2日滞在して、日本への飛行機を予約してもらった。
 ソウルの空港の税関も、まったく問題なく、酒井さんは、肩からのバッグとスーツケースを転がして、空港のロビーに出てきた。


(どのように、ホテルを探すかな)と、思いながら、空港のロビーをスーツケースを引っ張って歩いていたら、
「酒井さんですか。ご苦労さまです」と、年配の男性がとっても上手な日本語で話しかけてきた。
「はい、酒井です」(ああ、旅行社が、やっぱり迎えを頼んでいてくれたんだ。助かった)

「サウジの旅行会社から連絡があったのですか」

「そうです。酒井さんのお迎えです。ソウルにようこそ。ソウルは初めてですか」
「初めてです」

「今回は、何日、ご滞在ですか」

「3日間です」

「ああ、そうですか、それなら、まず航空券とパスポートを見せてください。フライトの確認をする必要がありますから。私と一緒に来てください」と、酒井さんが胸のポケットから出したパスポートと航空券を、その男は、受け取ると、親切にも航空会社のカウンターに行って、酒井さんの見ている前で、航空会社の女性と話している。これで信用してしまった。


 しばらくして、酒井さんのところに来て、
「この飛行機は、明日の朝、ソウル市内で再確認をしてくださいと言われました。私の方でお預かりして、やっておきます。そうだ。お金を交換されますか。銀行はこちらです。...(酒井さんの財布を覗き込みながら)さて、車を用意してありますが、ホテルはどこに予約されましたか」
「まだ決めていません」
「ああ、そうですか。良かった。安くて、立派なホテルをご用意しています。さあ、どうぞ、どうぞ」と、スーツケースを引っ張って、外に出て、駐車場の車に乗せて走りだした。

航空券とパスポートを見ながら、
「サウジアラビアからご苦労様です。ホテルにお着きになったら、シャワーでも浴びて、ほら、可愛い子を紹介しますよ。お疲れさまでした。明日は、観光案内しますので、サービスしますよ」
(これは助かった)と酒井さんは、もう気分は最高だった。


 その日の夜は、その男が連れてきた若い女性と飲み明かして、なんやかんや色々やって、ホテルに戻ったのは、夜中を超えていた。酒井さんは、まだビタ一文支払っていない。午前中は、ゆっくりとして、午後、違う男が迎えにきて、ソウル市内の観光、夕方にはまたまた、女性のいるところで、飲んで、騒いで、遊んで、なんやかんやをやって、気が付いたらホテルで寝ていた。


 次の日の朝、空港で迎えに来た男が、友人二人とホテルに来て、車に乗ったら、
「はい、2日間の請求書です」と出したのが、70万円だった。
「70万円は高い」と言ったら、その男は、ゴロっと態度が変わって、
「お前、ただで酒や料理や女遊びができると思っているんか。観光も車も全部入っているんだぞ」と凄み。「遊んだことは、全部証拠も残ってるぞ。お前のパスポートも、航空券も、返せないね」

他の二人の男も、車の中で、酒井さんの両側を挟んでいる。怖くなった酒井さんは、5000ドルを支払ってしまった。


酒井さんは、自分のスーツケースにガムテープを貼って、その上に、「Sakai」とマジックインクで書いていた。まさに、Sakaiさんが空港を歩いていたのを、利用されて、名前を呼ばれて勝手に誤解しただけだった。結局、酒井さんは、現地でためたお金をソウルの2日間ほどで、ほとんど使ってしまった。

どうして、私がこの話を知っているかって?

それは、日本に帰って、お金が無くなった酒井さんが、すぐにサウジアラビアに働きに戻ってきて、その話をみんなにしたからだ。、

これに似たケースが、出張でニューヨークの空港に昼に到着して、自分の名前を呼ばれて、会社が用意してくれた車だと、思って巨大なリムジンに乗って、中でシャンペンまで出て、予約したホテルを言うと、「ホテルの前に、市内を案内します」と、言われて、半日の観光に行って、途中で、25万円を請求されて、何とか20万円まで値切って、ホテルに到着したという。

 

 

 

ポイント
(1)空港の迎えは、必ず相手の確認をすること。
(2)名前だけを言われても、会社の名前を尋ねてみること。
(3)迎えのことを言われていないのに、勝手にハイリスクの空港で、知らない人に付いていかないこと。

 

☆アイデアマラソンの一口講座

現在、アイデアマラソン発想法を実行している人は、ビジネスマン、研究者、大学の先生、学生から始まって、幼稚園児まで、どんどん増えてきた。数千人かが毎日、実行している。
アイデアマラソンは、一冊のノートを持って、そのノートに自分の思いを毎日、何か書き留めることで、3週間継続すれば、自分の思考力に違いを感じ始め、3カ月続ければ、習慣化が始まる。一旦、習慣化ができると、生涯活用できるものになる。何を書いても構わない。

私はすでに29年間、ほぼ毎日何かを考え、何かを書いてきた。私の人生は399冊のA5サイズのファイルノートにある35万個の発想にある。

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