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商社マンの営業として33年間(うち海外生活21年間)、国内外で様々な体験をした。更に、アイデアマラソンのノートには、思いつきを書き続けて27年間、読者の参考になるエピソードや体験がたくさんある。今まで3年半、ITmediaのビジネスコラム「樋口健夫の笑うアイデア動かす発想」で毎週コラムを書き続けてきたが、私の体験や発想をさらに広く提供することが読者の参考になるはずと思い、ブログを開設することにした。一読されれば「読むワクチン」として、効果があるだろう。

緊急ブログ上程 第五弾 「ねむけおばけ」対策 会議のねむけの防止策

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会議のねむけの防止策
 
 あらゆる交通機関の運転では、「ねむけおばけ」に取り付かれると、最悪大事故になり死者がでる。仕事では「ねむけおばけ」は、仕事を殺す。

 今回は特に会議のねむけだ。
 会議で眠くなるのは、思考が止まってしまうことになるから、非常に辛い。脳の金縛りだ。会議の眠たさを堪えるのが一番仕事の中の疲れになることもある。私は商社マンだったから、日本の本社での勤務が一番きついと感じたのは会議の多さと眠たさだった。気分が緩んでいるから眠くなるんだとされるときつい。
 海外でも会議はあるが、小規模・短時間と回数を減らすことで、はるかにねむけは少なかった。

 眠い会議が多いことが根本問題であるのは、分かっているが、長年続く伝統的な会議など、多くの会社には、すでに何十年も巣食っている「かいぎおばけ」がいて、会議はどんどん増えて無限大に増えていく(ように感じる)。
 私が会議の座長や司会、開催権限を持つまでは、ただ耐えることも多かったが、司会になった時には決めた。

会議は終わり時間を宣言して、ホワイトボードに終わり時間を「会議終了X時厳守」と書き込んで始めること、延長は全員の意見を聞いて、司会はそれに従った。
「ちょっとトイレに」は、当然だが、抜け出られない内容もある。
 以前は、会議の間も禁煙・喫煙混在だったから、空気が淀んでひどかった。それに乗じて、
「ちょっと空気が淀んでいます。酸素不足で眠くなりますので、空気の入れ替えを」と、窓を開けたり、
「飲物を頼みませんか」とか、「(コーヒーなどが出ていたら)お茶を頼みませんか」とか、初めからコンビニなどで、お菓子を用意しておくのはよくやった。
 
 私が出向していた会社で、営業の次長だった時、部長会議や常務会、技術会議などは、部長が出席していた。私は一日に何件かお客を回るのが営業の本分だと思っていたので、外回りにまい進していた。

 ある時に、社長に呼ばれて「君を部長にしようと思うが」と言われた時、
「次長でけっこうです。部長になると、部長会と常務会などで、営業に回れなくなります。お客と向き合うのが私の仕事ですから」と言った。
その時の各部長を見ていれば、一週間に午前か午後10回しかないのに、定例会議だけで少なくとも3回、ひどい場合は5回分消えていた。そうなると、お客は回れない。
 社長が、「驚いたなあ。そうか、じゃ、会議に出ないでよいから、部長になってくれ」と言われて、
「はい、それなら、喜んでお受けします」と、受けたことをおぼえている。私は常務会も部長会もほとんど出なかった。必要とあれば次長にでてもらった。決まったことは報告を受けただけで通した。もちろん、部内の会議は、やったが極力短く少なくすることを試みた。

 会議の眠たさを堪えるよりも、きびきびと短い会議を行うことと、若い部下たちに交代
で、司会をさせて、時間厳守を図る役に徹することも、私のやり方だった。
 あらかじめ会議の途中のおトイレ休憩を決めておくことも良いが、トイレに出かけたまま帰ってこないメンバーが増えるのは問題だ。とは言え、私も部下に頼んで、メモを入れてもらい、不要で、眠い会議からの緊急脱出を図ることもあった。

 会議でのねむけは、自分一人ということは少なく、ほぼ同時多発していることが多い。だから、よほどの硬い会議でないかぎり、さまざまな「ねむけおばけ」防止をできるはず。そうすれば遥かに効率と内容が良くなる。

 アメリカ人に尋ねたら、自分が主宰している会議なら、司会が任意に、様子をみて、
「はい、話は途中ですが、場の雰囲気が淀んでいますので、一度、全員、立ち上がって、両手を上げて、背伸びしましょう。そして再開です。はーい立って立って」と立ち上がり、「はーい、『よし』の一本締め」『よーし』
 これでかなりのねむけを消せる。これを「ねむけぶれーキング」と呼んではどうかと思う。短時間ではあるが、気分転換を図る方法かもしれない。
 会議の眠たさ対策は、会議を極力少なく、短く、即決することと、事前にアイデアを考えてもらっておくこと。その場でアイデアを募っても、良いアイデアはなかなか出ない。

 最近、会議でのブレスト(ブレーンストーミング)が問題だとされているのは、会議での瞬発的なブレスト(スポット・ブレストと名付けている)では、良い発想はなかなか出て来ない、つまり非効率だという。

 会議の間に発想を出すための助走(アプローチラン)や跳躍台(スプリングボード)を、時間を掛けて会議の中でやろうとするから、無制限時間、余計な時間が掛り、眠くなり、疲れて、良いアイデアが出ない。
 企画会議などは、必ず一定の期間の事前予告とその期間の毎日の積み上げ思考の記録、すなわち、毎日ノートに自分の思いを時系列に書き留めるアイデアマラソン発想法の導入が必要となる。アイデアマラソンは、毎日何かを考えて、ノートに短く書き留めるのが骨子だが、課題を与えられると、その課題で集中的に発想を書き留めて数日間から数週間を過ごす。アイデアマラソンに関してはアイデアマラソンの公式サイトをご覧ください。
 それら書き留めた発想を集めて会議で煮詰めるのがアイデアマラソン式のスーパー・ブレストである。

商品企画でも、雑誌や出版などの企画会議でも、事前の準備なしには空振りばかりで、ねむけおばけ大会となってしまう。ある大手メーカーの企画会議では、3週間ほどで、40名で700個の発想をかき集めていた。そして会議をするのが良い。

教訓 仕事がある限り、会議はなくせない。会議をするなら、様々な工夫をして、会議を眠たくないようにする必要がある。「ねむけおばけ」まで、会議に参加を要請はしたくない。会議の眠気覚ましの前向きの工夫があれば、読者からのコメントを歓迎します。

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