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プロセス、戦略、人間学の視点からプロジェクトを眺めます。

プロジェクトマネジャーが手に入れるべき「刀」

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前回の記事では、プロセスをデザインすることで得られる3つの効用についてお話しました。これは「基本編」ともいえます。きょうは、さらに2つ、「上級編」の効用についてお話ししましょう。

プロジェクトマネジャーにとって、この2つの効用は非常に「使える」ものです。

プロマネの毎日は判断の連続

プロジェクトマネジャーの毎日は判断の連続だということは、現場のプロジェクトマネジャーなら実感されているでしょう。

・リソースを追加投入すべきか。
・スケジュールを遅らせるべきか。
・仕様をドロップすべきか。

などなど、次から次へと判断しなければならないことがやってきます。ゆっくり考えているヒマはありません。迅速かつ、的確な判断が求められます。ここで判断を間違えれば、あとになって悪影響が出ることもわかっているでしょう。

さらに、このような判断に決まった「答え」、「正解」があるわけではなく、プロジェクトマネジャーはいつも、「これでいいのだろうか」「自分の判断は間違ってはいないだろうか」という不安を抱えています。これはかなりのプレッシャーです。

■ 優れたプロマネは未来予測ができる

しかしその一方で、判断を求められたときに「自信をもって」判断できるマネジャーもいます。その自信のある様子に、プロジェクトメンバーも安心してついていくことができるのです。

では、いつも不安なマネジャーと、自信にあふれたマネジャーの違いはどこにあるのでしょうか。それは、「未来を予測できるかどうか」の違いです。

未来を予測するといっても、勘や経験だけではなく、自信をもって判断しているマネジャーは、論理的な根拠をもって未来を見通すことができるのです。ここで役に立つのが「プロセスデザイン」の思考法です。

■ 「プロセスデザイン」の思考法

プロセスデザインには、前回の記事で挙げた3つの目的、すなわち、

①再現性を高める
②複雑性を減らす
③追跡可能性を高める

のほかに、2つの利点があります。

④予測可能性を上げる
⑤シミュレータビリティを上げる

の2つです。

■ 予測可能性を高める

プロセスデザイン思考では、プロジェクトを「プロセスの連鎖」と見なします。

あるインプットがプロセスに入力されて、それをプロセスで加工して、アウトプットとして出力する。そして、そのアウトプットが次のプロセスのインプットとなる・・・。このように、インプットとアウトプットでプロセスはつながっていきます。

プロセスのつながりを「見える化」することで、この「インプット - (プロセス)-アウトプット」の構造が浮かび上がり、どの要素が、どのプロセスに、どのような影響を与えるのかが一目瞭然になるのです。

プロセスの構造が見えないままでは、判断がすべて「あてずっぽう」になってしまいます。先の予測ができないために、現時点のスナップショットでしか判断できないからです。

すぐれたプロジェクトマネジャーは、この「つながり」を思い描いて、未来を予測しています。だから確信をもって判断が可能なのです。プロセスデザイン思考は、この「未来を見通す力」を劇的に高めてくれます。

■ シミュレータビリティを上げる

さらに、プロセスデザイン思考は「すでに起こった問題」だけではなく、「どのような未来が考えられるか」についても、シミュレーションを可能にします。

プロセスを「インプット - (プロセス)-アウトプット」のつながりで捉えることができるようになると、プロセスを機能させるために必要な要素が、すべて見えるようになります。要素が見えれば、「その要素の変化パターン」を考えることで、シミュレーションが可能になるのです。

このシミュレーションはリスク管理でも大きな力を発揮します。プロセスを構成するそれぞれの要素について「ここでインプットAがそろわなかったら」「ここでプロセスBが遅れたら」など、あらゆるケースを事前に考えることができるようになります。

■ プロマネは刀を手に入れろ

プロジェクトはつねに「不確実性」にさらされています。つねに変化する戦場に、丸腰で挑めばケガをするばかりか、命を危険にさらします。しかし、「予測可能性」と「シミュレータビリティ」という”刀”を手にいれれば、大きな助けとなります。

できるだけ多くのプロジェクトマネジャーに、「刀」を手に入れていただきたい。そう思っています。


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