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「君たちはどう生きるか」個人的解釈は「ジブリの闇」かなあ。

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意味がわからないと言われ続ける、「君たちはどう生きるか」。個人的解釈は「ジブリの闇」かなあと思ってる。この10年のジブリのドタバタを書いている気がする。ポスターにもなってるアオサギは「鈴木敏夫」?

以下、ネタバレを含む。

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前半:宮崎駿の原体験。wikipedia参照。
後半:ジブリとアニメ業界とビジネスサイドの闇。鈴木敏夫著「天才の思考」を参照。

後半概要
- 焼け死ぬペリカン→製作委員会ビジネスモデルの崩壊
-人を食う鳥→クリエイターを食いつぶす代理店やテレビ局()
- 産屋→ジブリの後継者問題
- 溶ける母親→鈴木敏夫に消されたIP企画アニメ
- 離れたところでギリギリのバランスを取る大叔父→現在の宮崎駿
- インコ大王がぶっ壊した積み木と潰れる塔→ディズニーから来た新社長によるジブリ制作部の解体
そんな中で「どう生きるの?」。


アオサギ: 鈴木敏夫のメタファー→劇中で何度も主人公に呼びかけて「下の世界(ジブリとアニメ業界)」に呼び込む。1981年に仕事を干されてた宮崎駿を何度も説得してアニメージュの企画「戦国魔城」に無理に引き込む(後のナウシカ)。劇中のアオサギは普段はかっこいいが中身が気持ち悪い。鈴木敏夫もメディアではかっこよく振る舞うが、悪い噂も多い。最近は愛人にジブリの会社のカネを使い込んでいることがスクープされた。宮崎駿とのケンカも非常に多い。上記の本を読むとけっこうひどいこともしている。劇中では最終的には主人公と友達になる。

下の世界:アニメ業界。特にジブリとその周り。

鳥:そうじてクリエイターでない人(代理店や営業)は全部「鳥」で表現されているように思う。アオサギ(鈴木敏夫)が半分鳥で半分人間なのは、そういう表現なんだと思う。クリエイターにとって、代理店やビジネスサイドの気持ち悪さというのは、正直、人間に見えないことがある。

ペリカン:製作委員会などビジネスサイドの中の人→中盤で主人公に襲われ、門を押し開けられ、その後、わらわらを食べに集まって、ヒミに焼き殺される。今回の作品は製作委員会方式ではないので従来の製作委員会の座組の中の人にお金が入らない、焼き殺された。昨今の映画は製作委員会モデルがなくなり、「いっちょかみ」の人が儲からなくなった。

キリコ:おそらく?ジブリの古参のアニメーター。名前忘れた。顔が似てる。いまはおばあちゃん。

わらわら: ジブリのIPまたは制作物→魚を食べて上の世界(普通の世界)に行くが、ペリカン(製作委員会)が食べる。「もう魚(興行収入)がないのでこれしか食べるものがない」と言ってる。IPのことではないだろうか。実は今はジブリは興行収入で成り立っていない。食べるものがないので、今回は製作委員会方式が取れなかったのかもしれないし、内容が内容なので製作委員会が作れなかったのかもしれない。

大叔父様:現在の年老いた宮崎駿。なんやかんや頑張って、バランスを取ってきたことを示す。世界のバランスを取る立場なのにジブリ本社から離れたアトリエ(二馬力)で引きこもっている状況が似ている。「悪意のないもの」をやたら求めるが自分も悪意に染まってる。

13個の石:宮崎駿が深く関わった劇場用作品でジブリが権利を持っているもの。カリオストロ、ナウシカ、天空の城ラピュタ、魔女の宅急便、となりのトトロ、紅の豚、もののけ姫、千と千尋の神隠し、耳をすませば、ハウルの動く城、崖の上のポニョ、風立ちぬ、君たちはどう生きるか。以上、13個。

3日に1度石を組み立てる: 3日ではなく、三年の意味かも。トップクラフト時代から考えると、宮崎駿は平均3年に1度映画を作ってる。今は5年以上かかってるけど。

インコ大王:星野康二?→ジブリを解体したときの社長。ディズニーから来て、結局、ジブリ制作部を解体した。劇中でも「下の世界」のバランスを保っていた積み木を壊し、適当に組み立てすぎて、いろんなものがぶっ壊れる。適当に組み立てすぎた積み木は、ジブリの制作部を解体して全部外注で作った「レッドタートル」のメタファー。興行収入0.9億円。「鳥」だけで映画を作るとこうなるいい例だ。

インコ:日テレと博報堂と代理店の社員→なんかいっぱいいて、人(クリエイター)を食うと言われているから。

塔:アニメ制作会社やスタジオ????「塔は世界中にある」とのセリフから、勝手に想像してる。

鍛冶屋:インコ(博報堂など)に占領されているということから、まぁ、あれなんだろうな。わからんでもない。

産屋:(解釈1)一時期、ジブリ内で宮崎駿の後継者を作ろうとしていたことへのメタファー。宮崎駿は関わるなと言われていたが、結局、口をだして、後継者が出ていったりして「君の名」はなどの大ヒット作品を作り、今に至る。劇中、主人公は母屋に入って、夏子に「大嫌いといわれ」、インコ大王(星野康二?)が「禁忌を犯した」とブチ切れる。現実世界では、後継者ができず、興行収入も立たず、ジブリが解体され、レッドタートルという黒歴史を作った。

132の扉:謎???

ヒミ: パクさん??→なんとなく。死んだから。ナウシカ時代、プロデューサーとして、ビジネスサイドとの壁になっていたらしい。劇中、ペリカンを火で焼き殺したりしてた。1965年にパクさんが宮崎駿を巻き込んで、「ホルスの大冒険」に巻き込んでから宮崎駿を育ててきたので、ある意味、母親としての解釈があるのかもしれない。ホルスからナウシカまでで20年あるから我々が思うより色々あるのかもしれない。しらんけど。


その他:
母親の偽物をドロドロ溶かしたりして、主人公が「なんてひどいことをするんだ」と言う。鈴木敏夫も「ひどいこと」で有名だ。母親ドロドロ溶かしは、高畑勲や宮崎駿がやりたいと言って準備していた企画を何度か握り潰されたことのメタファーかもしれない。

特に、上記の本によると、宮崎駿はトトロやポニョのような子供向けのキャラやIPが立つ映画を作りたかったらしいが、鈴木敏夫が握りつぶして、「風立ちぬ」をやらせた。これをみてると、握りつぶされた企画がきっと多い。鈴木敏夫も、マーケ的にオリジナルで子供向けというのは今の高齢化した日本では辛いと判断したからだろう。もともと企画なんて100個あっても1個通るかどうかが普通で、宮崎駿も消えた企画が多い。

今までも、勝手に映画のタイトルを変えられたり("もののけ姫"は"アシタカ戦記"だったのに勝手に変えられた)、勝手にロゴやキャッチコピーつけられたりで毎回ケンカになるらしい。表に出てるだけでこれだけやっているので、クリエイターとしては「なんてひどいことをするんだ」と言いたくはなる。

そして、「君たちはどう生きるか」は、鈴木敏夫のキャッチコピーがない。ジブリで毎度おなじみの鈴木敏夫と糸井重里が作る、あのキャッチコピーもない。

そして、鈴木敏夫がお得意の宣伝もない。

最近は、ジブリのイベントでも、鈴木敏夫は出てきても、宮崎駿は極力出てこない。

最後、劇中で主人公とアオサギは友達といいつつも、別れる。

そういう意味では、最後の遺作にふさわしい。ジャンプでいうと「幕張」の最終回やアニメ版「銀魂」のように、内情を暴露しておわった話にみえる。ただ、メタファーが難しい。

全部が全部、なにかのメタファーでもなく、「描いてみたいから、描いた」シーンも多いように思う。

上記の本でも、鈴木敏夫が「地方からでてきたキャバ嬢が成長して、コミュニケーション力がついていく話」から「千と千尋の神隠し」ができたので、あんがい、ゲスい発想で映画を作ることも有る。

アオサギ=鈴木敏夫説を本人は一部メディアで肯定している。宮崎駿は否定してるが、宮崎駿は何を聞いても、モデルの元を名言しない。エアーズロックしかり、九份しかり、毎回否定している。いかなるモデルを明言すると影響力大きすぎるので、なにも否定するのが正しい。

抽象的作品の解釈というものは、100人いれば100通りの解釈があるべきで、この解釈が正しいかどうかはわからないけど、抽象的な作品というものはそういう楽しみ方をするものだと思う。

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